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2020年08月07日14:58

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義足でのボーイ・ミーツ・ガール 4

土曜日の午前中にさおりんに図書館で勉強を教えていた。
さおりんは何時も以上に落ち着きが無かった。
「どうした、さおりん?」
「今日は町の神社で夏祭りだよ」
ま、関係無いな。
わたしが続きを教えようとすると。
「女子から夏祭りに誘われたら、男子はドキドキして一緒に付いて来てくれるのだよ」
つまりは一緒に行きたいとな。
さおりんは財布を出して「この厚い財布が目に入らぬか」と自慢する。
それなりにお小遣いを貰ったらしい。
わたしは試しに浴衣も着てくるか聞いてみた。
「ノー、プロブレム。アサガオ柄の浴衣だよ」
少し英語の勉強も必要だなと。一瞬、思うのであった。
はて?日本語に訳すとどういう意味だ?
つまりはさおりんは浴衣を着てくるとな。
一気にわたしの体温が沸騰する。夏祭りで女子とデートだと!
きっと、死亡フラグに違いない。
校内の上位カーストの生徒に見られて、生徒指導の先生の耳に入って、退学処分になるのだ。
「変装してもいい?」
「Tシャツと短パンでいいから普通の格好にしてよー」
確かにさおりんの言う通りだ。
変装などしたら余計に怪しい。
さおりんは子供っぽいところがあるが立派な女子高生である。
「リンゴ飴、焼きそば、スーパーボール釣り……楽しみだな」
行く気満々である。
これは断れない……。
イヤ、こんなチャンスなど無い、断ったら一生の汚点だ。
あードキドキする。今日の事は日記に書いておこう。
はて?毎日、日記を付けてはいないから。
将来の黒歴史メモになりそうである。
ダメだ、今日の歴史は黒くならない。
ルーズリーフに残しておこうと思う夏祭り前の土曜日であった。

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