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2020年07月30日15:12

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日本人形の憂鬱 15

わたしは病室から見える流れる季節の移ろいを感じていた。
「今日も来たよ」
病室の扉が静かに開く。
友達の真由美だ。
わたしは『祈りの石』と等価交換で真由美から死神の手から守ったのである。
魔女との契約を打ち切ったので『祈りの石』は無くなり、肺の病気で入院の日々である。
うん?
隠れる様にしているのは美亜である。美亜もわたしの大切な友人である。
「また、来ちゃった」
わたしの『祈りの石』で美亜は死神との契約が無くなり。
願い事であった『友達が欲しい』が叶ったのだ。
こんなわたしでも友達が二人もいる。
それは穏やかな日々が続くのであった。
真由美と美亜はスマホを広げてリアルクラッシャーを始める。
わたしは院内のスマホの利用制限で引退した。
やはり、廃ゲーのプレイは入院中では無理らしい。
代わりに小鳥の餌付けに成功して充実した日々を送っている。
ただ、残念なのがスケッチに飽きてしまったことだ。
院内から出れないので風景画の場所が無いのである。
わたしはスマホを取り出して三人で自撮りした画像を見る。
「ねえ、今日の一枚を撮らない?」
「OK」
「えーまた?」
真由美は快諾して美亜は渋る。
完全な何時ものパターンである。
わたしは美亜を説得して二人がわたしの顔に近づく。
『イェーイ』
確認すると綺麗に撮れた。
これで今日は満足である。
「そう言えば、一時退院の許可がおりたよ」
「ショッピングモールに行けるじゃん」
「それは無理かも」
「なら、ホームパーティーをしようよ」
真由美の案が却下されて美亜の意見が採用される。
わたしは幸せ者だ。少し涙ぐむのであった。
「そんなに嬉しいの?初めて会った時は凄い憂鬱そうだったのに」
今、思えば遠い昔の様なきがする。
「一枚、撮るよ」
わたしは真由美にスマホを向ける。
そう、季節は過ぎて行って夏の暑さから涼しくなった。
わたしはきっと、しあわせになれる、そんな予感のする昼下がりであった。

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