わたしは病室から見える流れる季節の移ろいを感じていた。
「今日も来たよ」
病室の扉が静かに開く。
友達の真由美だ。
わたしは『祈りの石』と等価交換で真由美から死神の手から守ったのである。
魔女との契約を打ち切ったので『祈りの石』は無くなり、肺の病気で入院の日々である。
うん?
隠れる様にしているのは美亜である。美亜もわたしの大切な友人である。
「また、来ちゃった」
わたしの『祈りの石』で美亜は死神との契約が無くなり。
願い事であった『友達が欲しい』が叶ったのだ。
こんなわたしでも友達が二人もいる。
それは穏やかな日々が続くのであった。
真由美と美亜はスマホを広げてリアルクラッシャーを始める。
わたしは院内のスマホの利用制限で引退した。
やはり、廃ゲーのプレイは入院中では無理らしい。
代わりに小鳥の餌付けに成功して充実した日々を送っている。
ただ、残念なのがスケッチに飽きてしまったことだ。
院内から出れないので風景画の場所が無いのである。
わたしはスマホを取り出して三人で自撮りした画像を見る。
「ねえ、今日の一枚を撮らない?」
「OK」
「えーまた?」
真由美は快諾して美亜は渋る。
完全な何時ものパターンである。
わたしは美亜を説得して二人がわたしの顔に近づく。
『イェーイ』
確認すると綺麗に撮れた。
これで今日は満足である。
「そう言えば、一時退院の許可がおりたよ」
「ショッピングモールに行けるじゃん」
「それは無理かも」
「なら、ホームパーティーをしようよ」
真由美の案が却下されて美亜の意見が採用される。
わたしは幸せ者だ。少し涙ぐむのであった。
「そんなに嬉しいの?初めて会った時は凄い憂鬱そうだったのに」
今、思えば遠い昔の様なきがする。
「一枚、撮るよ」
わたしは真由美にスマホを向ける。
そう、季節は過ぎて行って夏の暑さから涼しくなった。
わたしはきっと、しあわせになれる、そんな予感のする昼下がりであった。
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