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2020年07月23日16:23

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日本人形の憂鬱 9

今日も保健室中のベッドに座りリアルクラッシャーを遊んでいると。
白い顔をした美亜が入ってくる。
黒いオーラが立ち込めていて不気味であった。
わたしの隣に座ると美亜の口元が近づいてくる。
そっと、抑えられて重なる唇は甘い匂いがした。
わたしが振りほどくと。
「わたし、死神と契約したの……これで、わたしは死の使いよ」
美亜は自分が死神になったと言い出したのだ。
それは、わたしに対する死への誘いであった。
急いで保険の先生を探す。
「美亜が!美亜が!」
「落ち着いて、美亜さんがどうしたの?」
わたしが保険の先生にすがると
「先生、心配しないで、簡単な追いかけっこよ」
美亜は笑顔で話し始める。
勿論、そんな優しい事態ではない。
「聞いて……わたし愛されて生まれた子でないの……だから死の使いになれたの」
「よく、分からないけど喧嘩はダメよ」
「はーい、終わりの時は一瞬で済むわ」
意味深な言葉を残して、美亜は奥のベッドに向かい横になった様だ。
わたしは怖くなり一階の空き教室に逃げ出すのであった。
そこにはアイが座っていた。
「アイ、美亜が、美亜が……」
「君は本当に不幸だね、普通は死の使いに目を付けられたりしないわ」
そう、簡単に言えば美亜が死神になったのだ。
「これは契約には無い事態だ、本当に殺されかけたらわたしが助けるわ」
複雑な気持ちでいると、更にアイが喋り始める。
「でも、わたしにメリットが少ないのよね。気が向かなかったら、見殺しにするかも」
気ままな魔女の言葉である。多分、本当の事であろう。
うん?
着信だ、真由美からに違いない。
このままでは真由美を巻き込んでしまう。
そんな思いを感じてか、曇り空から雨が降りだす。
一瞬の迷いから抜け出して、携帯の着信に出るのであった。
そう、わたしは真由美への感情に素直になる事にした。

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