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2020年07月23日07:59

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日本人形の憂鬱 8

わたしは独りでベッドに横になり、天井を見上げていた。
「眠れないの?」
いつの間にか椅子に座ったアイがこちらをみている。
わたしはアイの問いに沈黙で答えた。
「静かな夜ね、わたしが死神だったら、連れて行ってしまいそう」
わたしは呼吸が苦しくなる。これはアイの妖術らしい。
「前にも言ったと思うけど、契約以上のことはしているつもりよ」
わたしは紅く輝く『祈りの石』を取り出してアイに渡す。
「嘘つき……最近の輝きは鈍くてよ」
真由美の存在が不幸の塊である『祈りの石』の輝きを鈍らせているのか……。
「ふ、わたしに友達は贅沢とでも言いたいのか?」
「友達の存在自体はむしろ歓迎するわ。例えば友達の死とか、不幸のあり方が変わるだけ」
わたしは髪を激しく掻いて不快感をあらわにする。
この魔女は目的の為なら真由美を殺すというのか?
アイを睨み付けるが涼しい顔をしている。
わたしは苦しい呼吸を我慢して部屋を出てキッチンに向かう。
水道から水をコップに注ぎ一口飲む。
アイの妖術が解けて呼吸が楽になる。
それとも、わたしの肺が病気なのかと思う。
また……入院生活に戻るのかと不安を隠せないでいた。
アイと向き合って解決しなければ。
わたしは自室に戻るとアイはいなかった。
魔女か……。
机の上に『祈りの石』が置かれていた。
この『祈りの石』は血を呑むのであろうか?
リストカットして血を与えたい気分であった。
わたしの血で真由美の命と交換できるなら……。
しかし、急激な眠気に襲われていつの間にか寝ていた。

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