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2020年06月07日09:52

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『熊之豪はじめ』は何処まで私情なの?12

朝霧の携帯をハッキングして位置情報を探してみる。
電車での移動が終わり目的地に着いたようだ。そこは西新宿のオフィス街だ。
ダメだ、高層ビルの多い場所では正確な位置が分からない。
せめて、Wi-Fiに接続すれば探知できるのに……。
わたしがパソコンに向かい頭をかいていると。
「そうだ、政府要人に協力をお願いすればいいのでは?」
橋場に問いかけると、橋場は目をそらす。
「それはダメよ、AIによる個人への思考操作は国家機密なの、外国の反政府系のメディアにバレたら国際問題よ」
つまりは藍原が行っていた研究の元々は国家プロジェクトで、藍原のその思想から政府を裏切り、暴走したのが真実らしい。
「藍原は保険としてロシア連邦との繋がりも確認されているわ」
「亡命……」
わたしは何も出来ない自分を呪うしかなかった。
「とにかく、まだ、時間はあるわ」
橋場は自分に言い聞かせる様に呟く。
わたしは応用サイエンス部から帰宅する事にした。
「クマたん、ファイトです」
帰宅中にメイド服姿のかぐらは拳を握りわたしに話しかけてくる。
実にありがたい応援であった。朝霧はわたしの大切な友人である。
この思いは本物だ、わたしはかぐらが落雷で具現化してから変わったのかもしれない。
そんな事を思いながら夕焼けの空を眺める。
そして、帰宅するとかぐらは夕食の準備にかかるのであった。
そう、平和な日常が続いていた。
しかし、頭はガンガンして目はかすみ、肩こりも酷く、わたしはパソコンに向かうのを休む事にした。
わたしも人間だ、物理的にハッキングする時間は限られている。
リビングにあるソファーに深く座り込み疲れを癒す。
とにかく、シャワーだけでも浴びよう。
ノロノロと動き出して、わたしは熱いシャワーを浴びる。
滴る水を感じながら朝霧の救出方法を考えるのであった。

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