mixiユーザー(id:52355057)

2020年06月05日15:19

118 view

『熊之豪はじめ』は何処まで私情なの?10

わたしはお風呂あがりにドライヤーで髪を乾かしていると。
鏡の前に色の付いたリップが置いてある。
どうやら、かぐらの物らしい。
新品がもう一本置いてある。
わたしが物欲しそうに眺めていると。
かぐらがやってきて、わたしに話しかける。
「わたしが教えてあげますので、心配はいりません。そのリップをつけますか?」
かぐらはメイド服に薄いリップが輝いていた。
ここはメイド喫茶かと勘違いするほど、かぐらは綺麗であった。
わたしは『オタクにメイクなど必要ない!」と心の中で叫ぶが……。
そう、心の中の叫びとは関係なく、気がつくとかぐらに教えてもらっていた。
なんだかんだ言って、カッコイイ彼氏が欲しいのであった。
「クマたんにはこの小さなはけで塗るタイプがオススメです」
かぐらは小瓶を取り出してわたしに渡す。
「さ、さ、自分で塗って……」
輝きを増すくちびるによって、わたしは不思議な気分になっていた。
「最後の因子はパートナーが欲しいかどうかです」
???
かぐらが意味深な言葉を呟く。
わたしは素直に何の事か聞くと。
「わたしのAIとしてのプログラムに残されたモノです。落雷により多くのデータが失われたので詳細は不明です」
兵器としてのかぐらか……わたしは少し寂しい気分であった。
「クマたん、お化粧講座の続きです」
かぐらは自分の頬にポンポンとして赤らめる。
そして、かぐらの綺麗な指先がわたしの頬にもポンポンとする。
「わたしはお風呂に入ったばかりだ。今日はこれくらいにしてくれ」
「はい、クマたん」
わたしはメイクを落として独りになる。
ベッドに横になると手鏡で自分の顔を覗き込む。
彼氏が欲しいかどうかか……。
そう言えば朝霧は彼氏はいらないとか言っていたな。
わたしは微睡の中で彼氏が欲しいと思うのであった。

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する