図書室棟の隣に白花と陣さんが待っています。
「姉ちゃんは一人だと危なっかしくていけない」
不機嫌そうな白花はわたしと陣さんの真ん中に立ちます。
「炎華、君の『絶対正義』を見せてもらうよ」
やはり、戦う事になりました。相手は五芒星の一人……わたしは自分の運命をかけて戦う事にしました。
『レディーゴー』
白花が決闘の開始を合図します。
わたしは『剛力の剣』を召喚します。
陣さんも魔法陣を描き見上げる程の鉄巨人を召喚します。
鉄巨人は特大の剣を握り絞めています。
しかし、いかにも素早さは無さそうです。
「姉ちゃん、油断するな!」
白花のかけ声と共に鉄巨人がスケートを滑る様に猛スピードでわたしの間合いに入ってきます。
よく見ると鉄巨人は数センチ浮いています。
「少しの力でスピードを出す工夫だ。油断していると一瞬で勝負がつくぞ」
陣さんが解説します。あの巨体で摩擦がゼロとはさすが五芒星の一人です。
振り下ろされる剣を『剛力の剣』で受け止めます。
ガッジン!
鈍い音がなり剣と剣が相まみえます。
「重い……」
わたしは後ろに飛び間合いをはかります。
しかし、素早く鉄巨人が更に切りかかってきます。
「つ、強い……」
剣で受け止めるのが精一杯です。
とにかく、あのスピードを止めないと……。
わたしは『剛力の剣』を地面に挿し込みます。
「うん?」
陣さんが警戒します。そう、炎のムチが地中に走らせて鉄巨人の足元に絡みつきます。
動きを止める事に成功です。
わたしは水平の飛び剣で鉄巨人の胸を刺します。
この手の召喚獣は核を持っています。
『剛力の剣』で鉄巨人の全身を探ります。
「右腰か!」
わたしは素早く第二撃を放ちます。
右腰にヒットさせて核を壊します。
「甘い!」
陣さんが叫びます。
これは……?
鉄巨人が自爆して全身に鉄の破片があたります。
わたしはボロボロになり倒れ込みます。
陣さんが小さな剣を召喚して歩いて近づいてきます。
勝負ありです。わたしの体は動きそうにありません。
「もう、やめて!」
遠くから輝夜さんの声が聞こえます。輝夜さんは走ってこちらに来ます。
「炎華さんはわたしの為に『絶対正義』を貫きました。このシャドーカードを手放します」
「そうか……」
陣さんが立ち尽くします。そう、陣さんの愛する輝夜さんが消えるのです。
輝夜さんは陣さんに『シャドーカード』を手渡します。
それから、白花がわたしに近づき癒しの水を召喚します。
わたしが起き上がると陣さんが『シャドーカード』をわたしに託します。
「君なら一番いい形で、この『シャドーカード』を使ってくれるだろう」
わたしの願い……。
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