画像は雑誌『CRUISE』のツイッターより、同誌の最新号とバックナンバーの表紙。
国土交通省港湾局産業港湾課は、2020(令和2)年1月23日付で『訪日クルーズ旅客数及びクルーズ船の寄港回数(2019年速報値)』と題する報道発表資料を、インターネットで公開しました。
それによると、2019年(1月〜12月)の日本へのクルーズ旅客数は前年比12.2%減の215万3000人に、日本の港湾へのクルーズ船の総寄港回数は前年比2.2%減の2867回でした。
一応全文のスクリーンショットを貼っておきますが、別に読まなくてもかまいません(笑)。
さて、常連さんにはご案内の通り私は船舶オタクでクルーズ船の乗船経験も少ないとはいえありますので「豪華客船」という昭和の価値観をいつまでマスコミは引き摺っているんだ、と常々書いていますが、さすがは港湾局です、ちゃんと「クルーズ船」で統一しています。
と、一応褒めておいて、、、
やっぱり霞が関は現場を知りません(笑)。
クルーズ船は、国際海事機関(IMO)も日本の法体系も旅客船の一種としていますが、一般の皆さんがイメージする旅客船は遊覧船やカーフェリーや鉄道連絡船(←一発変換しません!)など、ですよね。
実際クルーズ船に用事があって乗っている旅客はほとんどいません(旅ブロガーが乗っていることがあるので皆無ではありません)。
私は「長距離遊覧船」と意訳してはどうか、とオタク界隈に提案しても賛同は得られていないのですが、言いえて妙だと自画自賛しています。
クルーズ船から降りてくる人の中で、旅客は街にはお金は落としません。
ツアーバスは土産物屋には立ち寄りませんし、ほとんどは半日ツアーで昼食は船内で済ませてしまいますし、一日ツアーでは食事場所も決まっていて、ツアー代金は船内精算なので、バス会社や旅行代理店の外にお金は出ません。
自由行動の外国人旅客は日本円の現金は持っていません。
皆さん、旅客の立場に立って想像してみて下さい。
外国の小銭を使いこなせる方はいらっしゃいますか?。
船に帰れば衛生的で口に合うお料理があって、食事代は旅行代金に込で支払済みなのですから「どうしてもこれが食べたい」というものが無ければランチのために船に一旦戻りますよね。
ところで、クルーズ船は旅客を輸送しているわけではなく、旅客に娯楽を提供して稼いでいますから、運航乗務員のほかに多数の乗組員がサービス部門で働いています。
小型ラグジュアリー船では旅客定員と同じくらいの人数(100人ほど)ですが、大型カジュアル客船では2000人ほどの乗組員が働いています。
サービスのクルーは、寄港地で交替で上陸するのを楽しみにしていて、街にお金を落としてくれるのは乗組員の皆さんなのです。
クルーの勤務は週7日休日なしで6〜9ヶ月乗船し、2〜3ヶ月は陸上で休みます(日本の法体系では労働基準法に船員は労基法ではなく船員法による、とあり他国でも同様です)から、寄港地での金離れは旅客より乗組員の方が良いんです。
さすがは現場を知っている神戸港振興公社さん、外国籍の客船の寄港中は頻繁に港と南京町との間に無償のシャトルバスを終日等間隔(頻度は船の大きさによるが、大型船では5〜10分毎)に出していて、入港直後こそ自由散策する旅客が乗っていますが、日中は日中で街へちょっと行って帰って来る乗組員が利用しています。
これがグローバルスタンダードですので、皆さんも真似をしてみませんか?
クルーズ船では最初の乗船港から最後の下船港まで部屋替えはなく、荷物を運ばなくて済むんです。
一番安い部屋でもトイレとシャワーは全室完備です。
別料金のものやサービス(カジュアルクラスでは飲料水も別料金ですからレストランでお冷は出ません)の生産もキャッスレス(部屋のカードキーがICカード)で、船内で販売される寄港地ツアーは高いけれど船横付けだから安心安全です。
もちろん海が時化れば揺れますし、寄港する日のお天気は選べませんし、強風が吹けば抜港もありますし、良いことばかりではありません。
ただ、コストパフォーマンスが良い上に、出港してディナーやショーを楽しんで寝て起きたら、次の寄港地に到着している、という時間の効率がとても良い旅行手段だ、とは言えましょう。
そうなんです、まさに長距離遊覧船なんです。
では、このシリーズのいつもの決まり文句(JTBさんからのパクリ)で本稿を締めますので、常連さんはご唱和ください(笑)。
地球の7割は海です。そして日本は島国です。出かけませんか、船旅へ。
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