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2019年01月15日10:52

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吉村芳生 超絶技巧を超えて   東京ステーションギャラリー

会期が来週までなので行ってきました。

写実主義の絵はよく見ますが、入口すぐにある「365日の自画像」を見て、この人やばいなと感じます。
365日毎日自分の写真を撮ってそれを絵にすること9年間。。
続けることの凄味が伝わってきます。

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一度写真を撮ることは彼にとって主観を排除するという意味らしいです。
初期は鉛筆、もしくはエッジングでの作品。
見た目はモノクロ写真ですが、近くで見るとその途方もない作業の細かさに息苦しくなります。

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色鉛筆でのカラーの花の絵は華やかさの裏側の膨大な作業時間に複雑な気持ちになります。
新聞まで手書きです。。
なぜこんなに写実にこだわるか、という疑問に彼はこう応えています。
「機械文明が人間から奪い去ってしまった感覚を再び取り戻す」

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この展覧会には特に大きな作品が2つあります。上(未知なる世界からの視点)が左右10m、下(無数の輝く生命に捧ぐ)は7mです。


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この2つは他の写真を媒介にした作品と違います。
写真を撮るようにひとつの視点から絵を描いているのではなく、昔の日本画のように視点移動、すべてが平等な視点から描かれています。誰のものでもない視点。
まさにあの世の視点、未知なる世界の視点を感じで見入ってしまう。
細かい花草の連続なのでゲシュタルト崩壊の効果もあるのかも。

下の絵は東日本大震災の後に描いたらしく、花のひとつひとつを亡くなった人を思って描いたとあります。
花が死んでまた生まれるように人もまた。
彼の言うようにこの世にある花は命なんじゃないかと思います。
とても真っ直ぐな言葉で心に突き刺さりました。



この2作品を見るだけでも行く価値があります。
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