今日の講義は藤島秀憲さん『ミステリー』
50歳代、文章上手。
親の介護を19年以上やって、二親を送った。
伸びやかで軽やか自分の境遇を嘆かない。
医学生が父の解剖する午後をチラシ配りに歩くわたしは
おとうさんは献体をした。そして自分は。
こういう人生もあるのかとはっとする。
一軒に配れば二円の仕事して金貸しなりし祖母がわかりぬ
チラシ配りの仕事をしている。
部屋に着くころには炊けているはずの舞茸ごはん ふたつの茶碗
それぞれの五十五年を生きて来て今日おにぎりを半分こする
結婚したんだね。舞茸ご飯、二つの茶碗、よい。
定収入よりも体のたいせつを言える吾妻をかき抱きたり
なかなか。
春一番に花環倒れて火葬場のトイレに父が入れ歯忘れて
詞書付き・母が死んだ
入れ歯は大事ですよ。それがなければご飯食べられません。
題詠 忘れる
忘れたきこと幾つかを押し込めし海馬この頃ほころびてくる とうこ
海馬は記憶をつかさどるところ。
わが海馬 ほころぶらしも と添削あり
忘れたきこと幾つかを押し込めしわが海馬この頃ほころぶらしも
(平凡な歌にてお恥ずかしい…)
お茶が終わって帰る時、藤島さんの
定収入よりも体のたいせつを言える吾妻をかき抱きたり
がいいわねぇ、とSさんが言い出してみんなで「かき抱きたり」とハグし合いました。
女ばかりで。喫茶店のレジで並びながら。変な団体です。
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