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2019年06月19日17:58

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六月大歌舞伎

「三谷かぶき」と銘打った「月光露針路日本」(つきあかりめざすふるさと)。
歌舞伎座の本舞台で、三谷幸喜脚本・演出、高麗屋三代共演の新作を見る。
大黒屋光太夫(船頭、幸四郎)、船員の磯吉(染五郎)、舟親司(白鸚)らが、漂流しロシアに流れ着き、女帝エカテリーナ(猿之助)に謁見して、日本に帰るまでの話を駆け足で。
他に、船員に愛之助、猿之助(二役)、観客への説明役(教授風の男)の松也、ロシア人役の八嶋智人ら。
竹三郎と寿猿がロシア人カップルに扮するが、合わせて百七十歳、とかいう茶々も入る。
竹本(義太夫)が折々入るが、発音がわかりやすい。
「カムチャッカからオホーツク、オホーツクからヤクーツク、ヤクーツクからイルクーツク」などという部分は、韻を踏んでいて、耳に快い。

十七人で八ヶ月漂流し、ロシアで命を落とす者、永住する者、帰途の船中で死ぬ者など、日本に帰り着いたのは二人だけだったという。

三谷幸喜は、笑わせないと気が済まない。役者もよく付き合って体を張り、台詞を連発する。その中に、多くの仲間が死んでいく悲哀をどれだけブレンドできるか。
多少無理があるが、落語の人情話のイキで、観客もうまく切り替えて芝居に没入。
しかし、お年寄りにはちょっときついか。

犬ぞりも、いい感じ。シベリアンハスキーの着ぐるみに顔だけ出した十数頭が、そりを引いたり押したり。舞台中に雪が降り、ころげつ、まろびつ、イルクーツクを目指す。(雪が客席にまで飛ぶため、幕間に最前列の客席回りに掃除機をかけている)

途中から、日本の象徴として「富士山」を使う。最後三人から二人になって、光太夫が、運命(神)に文句をいいつつ、俺たち二人の背後にはみんながいるんだ、と強がると、舟の回りに十五人が並び、定色幕が引かれる。一瞬おいて、再び幕が開くと中央に富士山。誰もいないが、カーテンコールさながらに十七人にが登場し、他の役者たちも加わる。客席はスタンディングオベーション。スマートな終り方。
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