バガヴァッド･ギーター第2章71　

★ギーター/2-71
（長谷川訳）・・・すべての欲望を放棄して、無執着になって活動し、そして、無私でエゴのない者は、平安を得るだろう。
（田中訳）・・・・物欲、肉欲をすべて放棄した人、諸々の欲望から解放された人、自我なく、所有感を持たぬ人、このような人だけが真の平安を得る。

（長谷川解説）
人は、自分の欲望を満たすために、外界を彷徨いつづけても、平安を得ることはできない。特に、それらの執着とエゴに結び着いた欲望は、大変な苦しみの原因となる。人の肉体に必要なことは、比較的早く満たすことができる。しかし、それでエゴの満足が得られるとは限らない。ある人に沢山のお金があったとしても、他人よりも少ないとしたら、彼は悲しむだろう。人生における多くの苦しみや闘いは、エゴとエゴの衝突が原因である。一般に、人は自分の不幸で、そんなに苦しみが起こるのではない。他人が自分より喜ぶのを見て、それによる嫉妬から苦しみが起こるのである。愛着とエゴを無くし、自分と他人を比較しないことが、平安を得る第一の条件である。