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2020年04月04日22:03

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科学技術之雑談帖(その37)―火星の衛星フォボスの探査

火星は二つの小さな衛星、ダイモスとフォボスがある事は、多少でも星の世界に興味を持つ人なら御存知の事でありましょう。実際に発見されるより前に、『ガリヴァー旅行記』で作者のジョナサン・スウィフトが、火星に衛星があると言及していた事も、これまた良く知られている処か、と。そのうちのフォボスを目指して、探査衛星を打ち上げてサンプルを回収してこよう、という計画が立てられているそうで。

<引用開始>

火星の衛星 本格探査へ フォボスのサンプル採取 地球の成り立ち ヒント求め

宇宙から地球に物質を持ち帰る「サンプルリターン」の新しい探査計画「MMX」が動き出す。小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」に続く第3弾で、火星の衛星「フォボス」に向かう。火星の衛星の本格的な探査や、地球と火星圏との往復は世界初となる。フォボスの成り立ちの証拠だけでなく、火星の水の起源を探り地球の水の起源の手がかりを得ることが目標だ。

MMXは「火星の月(衛星)の探査」を意味する英語の略称だ。火星にはフォボスとダイモスの2つの衛星がある。フォボスが直径約23キロメートル、ダイモスが約12キロと地球の衛星の月(約3474キロ)よりずっと小さい。月は地球から約38万キロ離れているが、フォボスは火星から約6000キロ、ダイモスは同約2万キロとかなり近くを公転している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月にプロジェクトチームを設置し計画概要を公表した。探査機を2024年9月に打ち上げ、1年弱かけて火星付近に着く。約3年間、主にフォボスを観測し、着陸して地表の砂や石の採取を試みる。探査機は29年に地球に帰還し、砂などの試料(サンプル)の入るカプセルを地上に届ける予定だ。

総開発費は、はやぶさ2より6割多い464億円を見込む。米欧も観測機器の開発などで協力する国際プロジェクトだ。米欧やロシア、中国などは火星本体の探査計画を進めている。日本が衛星を狙う理由の一つは、お家芸のサンプルリターンの技術を生かすためだ。日本には、重力が大きい惑星である火星の本格的な探査の方が難しい。MMXのプロジェクトマネージャでJAXA教授の川勝康弘さんは「日本は火星探査では後れを取るが、サンプルリターンでは世界の先頭を走る」と話す。

衛星の探査は科学的な意義も大きい。地球と似た惑星である火星の探査は、地球の成り立ちを探る上で重要だ。だが、惑星そのものを調べても火山活動などの影響で地質や地形が変化し、過去をさかのぼるには限界もある。東京工業大学准教授の玄田英典さんは「衛星には大昔の惑星の情報が保存され『惑星の化石』ともいえる」と語る。地球や月の研究も、米国のアポロ計画で月の石を地球に持ち帰ったことで大きく進展した。

フォボスとダイモスの成り立ちはまだ分かっていないが、有力な説が2つある。一つは「捕獲小惑星説」だ。遠くにあった小惑星の軌道が他の天体との衝突などによって変わり、火星近くまできて重力に捕まったとする。フォボスとダイモスの表面の黒色が小惑星と似ることが根拠の一つだ。ただ衛星の軌道の向きはランダムになるはずだが、フォボスとダイモスはほぼ同じ面をきれいな円軌道で回っており、捕獲説で現在の軌道を説明するのは難しい。もう一つは「巨大衝突説」だ。火星に小惑星などの大規模な衝突が起こり、散らばった破片が集まって2つの衛星になったとする。火星の北半球にある巨大な盆地が衝突の痕跡だとみられている。ただフォボスとダイモスの表面の色は赤っぽい火星と異なり、色や物質の違いを衝突説で説明できるのかという疑問がある。フォボスで採取した砂や石を分析すれば、どちらの説が正しいのかはっきりすると期待されている。

火星にかつて存在した液体の水の起源を調べる手がかりにもなる。フォボスやダイモスは宇宙から火星に水をもたらした可能性がある小惑星や彗星(すいせい)と共通点があると考えられ、フォボスの物質に水が含まれていれば仮説の検証につながる。地球の水の起源を探るためにも貴重な材料になる。MMXの主任研究者で北海道大学教授の倉本圭さんは「地球の生命を育む環境がどうやってできたのか。理解を深めたい」と意気込む。

フォボスには火星から飛来した物質も存在するとみられる。玄田さんらの推定では10グラムの試料に30個以上の火星の粒子が含まれるという。米欧は火星での試料採取を計画するが、MMXは一足早く火星の物質を持ち帰れる可能性がある。玄田さんは「火星に生命が存在すれば、その死骸が混ざるかもしれない」と期待する。

<引用終了>

出典Web:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200403&ng=DGKKZO57564900S0A400C2TJN000

宇宙開発に関して、長い伝統と技術の蓄積を持つ、アメリカやロシアと同じ土俵に上ることが難しいのは、素人でも容易に想像の付く所。悪戦苦闘の末、辛くも地球生還を果たしたはやぶさ、現在地球に向かって帰還中のはやぶさ2で培った技術で、是非実現させてもらいたいものでありますね。また、何処ぞのオバカがしゃしゃり出てきて、ああだのこうだのと、茶々を入れる事がない様に祈りたい所です。
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