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2022年01月20日16:22

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核・原子力    【たんぽぽ舎発】地球の反対側で起きた巨大カルデラ噴火で津波 (上)日本中の太平洋側で津波警報・注意報発令  山崎久隆

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202201182139552




2022年01月18日21時39分掲載  無料記事  印刷用

核・原子力
【たんぽぽ舎発】地球の反対側で起きた巨大カルデラ噴火で津波 (上)日本中の太平洋側で津波警報・注意報発令  山崎久隆

 トンガ諸島で発生した噴火で、日本など太平洋沿岸諸国にも津波が到達するなど、大きな影響が世界に広まっている。トンガ王国の無人島フンガ・トンガ−フンガ・ハアパイ火山(Hunga Tonga-Hunga Ha'apai)の噴火は、火山大国日本にも大きな教訓を示している。

◎1000年ぶりの巨大噴火

 1月15日午後1時過ぎ、昨年来活発な活動を続けてきた火山が大噴火を起こした。煙は約20kmまで上がり、2000km以上離れたニュージーランドでも爆発音が聞こえた。噴火の規模を示す「VEI:火山爆発指数」は6程度と推定されている。
 これは、近年では最も大きいとされる1991年のフィリピン、ピナツボ火山の噴火と同程度とみられ、約100億トンの火砕降下物や溶岩を放出したと見られる。

 日本の火山史上で比較すれば、864年の富士山貞観噴火や1914年の桜島大正噴火をやや上回る程度と見られる。
 今回の噴火では、日本では最大1.2mの津波(注)が鹿児島県奄美大島で観測されたが、岩手県久慈市でも1.1mの津波が観測され、日本列島が北から南まで全域で海面上昇や津波を観測した。これはチリ沖地震津波以来のことで、火山の噴火では観測例がない。

 また、南米のペルーや北米のカリフォルニアでも1mを大きく超える津波を観測している。距離的に近いニュージーランドやオーストラリアよりも遥かに遠い国々で、最大級の海面上昇が起きたことについては、気象庁は未知のメカニズムによるものとしている。
 なお、「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火に伴う潮位変化について」として報道発表や情報提供をしている。

 (注:気象庁は今回の現象を津波とは発表しておらず、便宜的に海面上昇に対して津波の警戒網を使って警報を出したとしている。前例のない緊急事態に対して、通常の津波警報、注意報の仕組みを使って直ちに避難を促した点は評価できる。なお、津波注意報は16日14時に全て解除された。)

 原発の情報としては、東京電力が15日午前0時30分に福島第一原発の構内で作業していた社員らに高台への退避を指示、14時の津波注意報の解除を受けて解除している。

◎海外の情報から

 海外の情報では、どのような物があるか。噴火や津波情報は今の
ところ意外なほど少ない。
 トンガからの情報は通信回線の途絶のため届いていないこともあり、何が起きているかが分からない。

 科学的情報に至っては、日本で参照できる情報はほとんど無いため、海外の科学情報サイトを見つけたメルボルンに本拠を置く「科学ジャーナリスト The Conversation」の記事「トンガの火山噴火はなぜこれほど激しいのか、次に何が起こるのか」から一部を紹介する。

 この火山は、過去数十年にわたり定期的に噴火してきた。2009年と2014〜15年の噴火では、マグマ・蒸気爆発を起こしている。
 しかし、これらの噴火はいずれも2022年1月の噴火に比べると小さい。 海中で起きた噴火なのに、なぜこれほどまでに爆発的だったのか。マグマが海水中でゆっくりと上昇すると、1200度C程度の温度でも、マグマと水の間に薄い水蒸気の膜ができる。これが断熱材となり、マグマの外側を冷やす。

 しかし、火山ガスを充満させたマグマが地中から吹き出すと、このプロセスは働かない。マグマが水中に急激に入り込むと、水蒸気層がすぐに破壊され、高温のマグマが冷たい水に直接触れてしまうのだ。これがマグマ水蒸気爆発を引き起こす。
 火山研究者はこれを「燃料・冷却材相互作用」と呼び、兵器級の
化学爆発に近いエネルギーをもたらす。そして非常に激しい爆風がマグマを引き裂き、新鮮なマグマの破片が高温の面を水にさらして連鎖反応が始まり、爆発が繰り返され、最終的には火山粒子が噴出し、超音速の爆風が発生する。このような非常に大きな噴火は、800km離れたフィジー諸島にも伝わる強力な衝撃波を発生させた。

 フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山はカルデラ火山で、過去の巨大噴火が2つ明らかになっている。
 最近の噴火としては、65km離れた人の住む最大のトンガタプ島の火山灰堆積物と放射性炭素年代測定を用いて化学的に照合した結果、大カルデラ噴火は約1000年前の西暦1100年に起こったことが
分かっている。

 今回の噴火は約1年前から続く噴火の規模を拡大させたもの。
 噴煙の高さは約20kmに達し、約130kmの距離にわたってほぼ
同心円状に広がり、直径260kmのプルームを形成した。
(訳注:北海道ほどの大きさ)

 この爆発力は、マグマと水の相互作用だけでは説明できない巨大なものであり、大量のガスを帯びたマグマがカルデラから噴出したことを示している。
 この噴火はまた、トンガ全土と隣接するフィジー、サモアに津波
災害を引き起こした。衝撃波は何千キロメートルも走り、約2000キロメートル離れたニュージーランドでも記録された。宇宙から見ると噴火が始まって間もなく、トンガタプの空は火山灰に覆い尽くされ、灰が降り注いだことが分かる。

 これらはすべてカルデラ噴火を示唆している。
 津波は爆発の際に大気と海洋の衝撃波が結合して発生したが、海底の地滑りやカルデラの崩壊によっても引き起こされる。

 これが噴火のクライマックスなのかどうかはまだわからない。大規模なマグマの圧力が放出されているが、これによりマグマの圧力を安定させた可能性もある。
 しかし以前に起きた噴火による地質学的堆積物は警告をしている。これらの複雑なシーケンスは、約1000年間続いたカルデラ大噴火の各々が、個別の爆発事象を含むことを示している。(抄訳:筆者)

(たんぽぽ舎共同代表)
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