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2020年02月29日17:12

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教育     肺炎一斉休校は法律を無視、「緊急事態条項」適用への道の危険 公教育計画学会が緊急声明

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202002291613266






2020年02月29日16時13分掲載  無料記事  印刷用

教育

肺炎一斉休校は法律を無視、「緊急事態条項」適用への道の危険 公教育計画学会が緊急声明


 公教育の改善をめざして研究と政策提言を行う「公教育計画学会」は29日、新型コロナウイルス感染対策として安倍首相が要請した全国一斉休校に反対する緊急声明を発表した。声明は、政府の決定は説明が十分でない上、感染症予防のための学校の臨時休業については地方自治体(所掌は教育委員会)が主体的に判断すべきとする学校安全衛生法を無視したものと指摘。「今回の超法規的措置、また後追い立法は、公立学校において地方自治のもとに営まれるべき公教育を、非常時を口実として国家統制下に置き、『緊急事態条項』」適用に道を開きかねない危険なものである」と警鐘を鳴らしている。以下が声明全文。

<新型コロナウイルス感染期の全国一斉休校政策に反対する声明>

 安倍首相は2月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部の席上で、「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請」すると述べ、あわせて「感染拡大を抑制し、国民生活や経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、必要となる法案について、早急に準備」するよう指示した(注1)。これを受けて文部科学省は2月28日、事務次官名で「臨時休業を行うようお願い」する通知を発出した。(注2)

 集団性の高い学校生活では、新型コロナウイルス感染の温床になりやすいことは理解できるとしても、関連政策や他への影響についての説明が十分でなく、納得性が確保されているとは到底言えない。

 本来、感染症予防のための学校の臨時休業は、学校安全衛生法第20条(注3)に基づき地方自治体(所掌は教育委員会)が主体的に判断すべきことである。今回の超法規的措置、また後追い立法は、公立学校において地方自治のもとに営まれるべき公教育を、非常時を口実として国家統制下に置き、「緊急事態条項」適用に道を開きかねない危険なものである。

 休校期間中の子どもの監護については、「休みが取りやすくなる環境を整えていただくとともに、子どもを持つ保護者の方々への配慮をお願いする」と呼びかけつつ、「こうした措置に伴って生じる様々な課題に対しては、政府として責任をもって対応する」(注1)と述べるだけで具体策は示されず、事業者や自治体に責任を押し付ける形になっている。事実、働く保護者からの不安や苦情は、自治体教育委員会や学校に直接寄せられ、唐突な政府方針に何の準備もできないままその対応を強いられている。また、学校における非正規職員・委託労働者への雇用と賃金の確保への言及もない。

 さらに、報道によれば北海道ではすでに、臨時休校で子どもの面倒を見なければならない看護師が5分の1に及び、外来を中止するなど病院が機能できない状態が発生しているとのことである(注4)。真っ先に確保すべき医療体制に影響が及んでいることが早くも露呈しているのは失政の証拠である。熊谷俊人・千葉市長が「衝撃の報道。全国一斉春休みまで休校…いくらなんでも…。医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません」(注5)などとツイッターで当惑しているが、正しい反応と言うべきである。

 このように、率直な不安への具体的対応策を示さずにインパクトの強い策を表明することは政治的パフォーマンスにほかならず、社会全体をさらなる混乱に陥れるものであると言る点である。一つの政策決定が次の事態を引き起こすことを踏まえた総合的な政策パッケージを示せないのであれば、リーダーシップを発揮しているとは言えない。28日になって、「要請に法的拘束力はない」「各学校や地域で柔軟に判断を」などと、首相も文科相もトーンダウンしたかに見えるが、結果責任は自治体にあって国にはないという責任逃れ発言に他ならず、かえってこの政権の本質を露呈したといえよう。一方、島根県、石川県金沢市、埼玉県戸田市など、一斉休校に踏み切らない決断をした自治体も見られ始めており、その決断を支持したい。

 教育的観点からは、この際ウイルスについて詳しく学ぶ機会を作り、有効な予防策について児童・生徒の学びを深めるなど、地域の中の学校、開かれた教育課程の実践として積極的に位置づけることもできるはずである。

 以上のことから、公教育計画学会は、新型コロナウイルスの感染期にあっても学校教育を円滑に実施するための適切な措置を講じ、行き過ぎた方策により児童生徒、教職員、関係職員、地域住民の命と生活を危険にさらさないことを念頭に、安倍首相の要請に反対するとともに、政府に以下の各点を求める。

1全国一斉の学校休校は行わないこと。休校を実施する場合は、2020年2月18日付文部科学省事務連絡(注6)の趣旨に立ち返り、限定的で適切な措置を行うこと。
2地方自治に立つ学校の在り方を阻害する関連法案を上程しないこと。
32019年3月29日付文部科学省通知(注7)に沿って、休業・出席停止により減少した授業時数の確保を強制しないこと。
4児童生徒、学校職員に対して、感染期および再開後の期間において過剰な学習や労働を強制しないこと。
5学校関係の臨時・非常勤職員、および関連民間委託先の事業者・職員に休業が生じた場合は、その経済的補償を行うこと。

注1『新型コロナウイルス感染症対策本部(第15回)』首相官邸ホームページ2020.2.27https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202002/27corona.html

注2『新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業について(通知)』文部科学省通知(元文科初第1585号)2020.2.28https://www.mext.go.jp/content/202002228-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

注3第20条学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。(下線当学会)
注4『新型肺炎で臨時休校看護師2割の170人出勤できず帯広厚生病院が一部の診療制限へ』十勝毎日新聞電子版2020.2.27https://kachimai.jp/article/index.php?no=499840

注5熊谷俊人(千葉市長)2020.2.27 18:38のツイートhttps://twitter.com/kumagai_chiba

注6『児童生徒等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について』文部科学省2020.2.18https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_kouhou02-000004520_3.pdf

注7『平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果及び平成31年度以降の教育課程の編成・実施について』文部科学省通知(30文科初第1797号)2019.3.29https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415315.htm


*公教育計画学会理事会
http://koukyouiku.jp/



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