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2021年09月20日13:11

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「スペシャルアクターズ」「ミッドナイトスワン」「滑走路」「さくら」「星の子」

「スペシャルアクターズ」
監督・脚本上田慎一郎。緊張すると気絶する癖のある主人公は久しぶりに会った弟になんでも屋的な俳優事務所に勧誘される。旅館をカルト集団から守る依頼を受け、主人公も加わることに。しかし実はというどんでん返し。楽しいコメディ。途中から面白そうだと娘も一緒に見た。

「ミッドナイトスワン」
監督・脚本:内田英治。トランスジェンダーの主人公は虐待されていた親戚の女子中学生を預かる。彼女はバレエの才能があり、主人公は性転換用の貯金を崩しバレエ教室に通わせる。だが母親が引き取りにくる。主人公は性転換し女体化して少女を迎えに行こうとするのだが。2人の交流に寄り添う描き方に泣ける。主人公は少女に理想を見ていたのか母親になりたかったのか。少女にとっては母親一択だろう。母親の期待に支配され悲劇を迎える少女のバレエ友達も印象的。バレエだけが取り柄と母親に言われた彼女がそれを失ったとき。真逆の境遇ながら別の意味で母親に虐待されている彼女は、少女の写鏡かと。

「滑走路」
過去と現在が交錯。中学生時代、委員長は虐めから幼馴染を助けて自分が標的になる。辛い中で同級生女子と仲良くなるが。現在、若手官僚はある自殺した青年を調査し、女性切り絵作家は夫婦生活に迷う。前半は中学生達が現在誰が誰になるのかというミステリー。監督:大庭功睦、脚本:桑村さや香、原作歌集:萩原慎一郎。委員長がいい子で真っ直ぐで硝子のよう。虐めで大切な物を傷つけるよう命じる卑怯さとそれがいかに相手を傷けるのか。彼を忘れずに将来子供を命懸けで守りなさいと語る母親がいかに自分を攻めたのか。宿る命に対してまで自由にしていいという言葉の残酷さ。考えさせられる。
海外では虐めに対し加害者対策を強化してるが日本はまだ遅れてる賠償金や評判を恐れ自衛する。しかし。加害者の精神とその周辺こそが異常。マニュアルがあれば加害者カウンセリングや徒党の引き離し等対応できる。まずは「三月のライオン」のいじめ対策エピソードを参考にすればと思う。
驚いたことに、加害者は過去の虐めを平気で言える人がいるらしい。聞いた相手が普通はドン引きするのがわからないのか。体験を肥しに成長した今の自分は違うと主張したいのか、逆に本質はいじめっ子と判断されると思わないのか。被害者はあまり過去被害者だったと言わないが、恥であり罪として墓場まで黙る案件は加害者の方。五輪でも学生期の虐めがバレて降板する事件もあったし、一時の爽快感の代償は加害者にいずれ返る時代。
原作が歌集なので原作というより、作者を投影しているような、呼びかけているような感。現在軸があるので先はわかっている過去。ラストは結末ではなく一番いい瞬間。歌は一編だけ出るがとても澄んだいい歌。他の歌も読んでみたくなる

「さくら」
三兄妹一家と犬の話。美貌の長兄亡き後失踪した父が戻り一家が久々に集合。次男の視点で回想に。美貌の妹はブラコンで長兄の彼女に敵意を持ち異常行動。彼女の引越し後暫く続いた文通が途絶え兄は悲しみ事故で大怪我を負い、悲劇が起こる。原作:西加奈子、監督:矢崎仁司。母の性教育が長尺なのは原作準拠かな。前半はLGBTQや近所の変な人やセフレや個性的家族に等身大に絡みつつほのぼのとしたエピソード。後半は兄に降りかかった「人生の悪送球」とペットが繋ぐ絆。女性の罪に甘いのは女性作家らしい。
女性は先を考えすに気分で悪事を働き、それでとんでもないことになって驚き、自分に迷惑がかかることで後悔するという、あくまで自分視点という人がいる。ドラマでもそういう女性の性質がドラマチックにするためよく使われる。映画「ピアノレッスン」で娘母の浮気を義父に告げ口したら母親の両手が切られ、泣き叫ぶ娘のエピがあった。

「星の子」
病弱な主人公のため両親は水を売る新興宗教に入り、姉は嫌って家を出て音信不通。友達や先生との交流で次第に外から見た家族の姿を知るが。「あなたがここにいるのは自分の意思とは関係ないのよ」子供は居場所を選べない。家族の心は変えられない。監督:大森 立嗣、原作:今村夏子

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