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2019年10月24日00:11

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映画「JOKER」☆☆☆

2019年10月22日(劇場鑑賞)

負の感情で覆われ、若干鬱になるような体験をした。
この映画に対する感想は、そのまま資本主義経済圏における社会構造で労働者階級が抱く不平不満をぶちまけるようなモノになるため、労働者階級の人民が観ると大なり小なり同じような感想を持つのではないかなと推察します。

物語は、ジョーカーの前日譚であり、もしかしたらジョーカーの妄想かもしれないという話です。

まずは、表面的なことでは体重を20kgも減量した主人公役のホアキン・フェニックスの熱演には狂気を感じました。

私の中で観たことのあるジョーカーは二人、バットマンのジャック・ニコルソンとダークナイトのヒース・レジャーです。
J・ニコルソンはブラックな笑いを気持ちよく獲りに行く道化師を演じました。
H・レジャーは暴力と狂気を純化した悪100%なジョーカー像を体現しました。
では、本作のジョーカーはというと、社会的弱者の象徴を描いたように見えました。

そう見えた理由、以下箇条書き。
いつもタバコばかり吸っていて食事もコーンフレークのような簡単な物しか食べていないから、げっそり痩せこけています。
少年期の虐待により脳および神経に障害を持ち、記憶力や学力に問題がある。
※常にノートを持ち、ノートに書いてある文章の誤字をしつこく見せる演出が秀逸。
上記病気により突然タガが外れたように笑い出す。
病気のため、カウンセリングと投薬治療を社会保障で受けられたが、後に財政難で打ち切られる。
信頼していた母親が実は妄想癖&DVで、しかも自分は養子だった。
仕事仲間が小人、デブの白人、黒人と一般的な社会的弱者のオンパレード。
舞台が1981年NYのため、街中ストリートアートや大量のゴミ、ネズミにあふれている。

この映画全編にジョーカーの妄想のように描かれているため、何が本当か分からないように作られていて、劇中の場面が全て信用ならないようにできています。
同じアパートの黒人シングルマザーとの恋愛は後に妄想だと分かるし、バスで前の席の子供に対して笑いを獲ろうとして横に座っている母親に激怒されるシーンも、本当に子供が座っていたのか疑問に感じるように映っています。また、中でもノイズになったのが地下鉄でエリート風サラリーマンを撃ち殺すシーンで、安物リボルバーなのに6発以上撃っているのはちょっと無理ないかなと感じました。
極めつけはラストの精神病棟でのやり取りで、最後に面談の場面を入れるということは、今までのやり取り全てがジョーカーの妄想ではないかと観客に思わせるのに十分でした。

資本主義の権化みたいな人がアメリカ大統領になれる世の中のため、こういう風刺の効いた映画を観られてうれしい反面、強烈な一発を喰らいノックアウト寸前でした。
決して手放しで喜んだり、他人に勧めたりできる類の映画ではありません。
自己責任で観に行くのがお勧めです。


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