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2020年01月25日01:39

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映画『キャッツ』を見てきました。(2020年1月24日(金)公開)

映画『キャッツ』を見てきました。(2020年1月24日(金)公開)

 海外では、興行的に失敗し、評論家たちから酷評されているけれど、わたしは凄く感激しました。というのも全編に渡ってアンドルー・ロイド・ウェバー節が叙情たっぷりに歌い上げられていたからです。しかもその歌詞は、単なるエンターテインメントの枠を越えて、宣伝文句通りの『人生が変わる』ポジティブな内容のものでした。

 やはり皆さんの気になになるところは、主題曲『メモリー』の扱われ方でしょう。この『メモリー』は、グリザベラという過去の栄光に浸る傷心のメス猫が歌い上げます。舞台版では娼婦猫だった設定が、劇場版では舞台猫に変更されていました。かつては舞台で踊りと芝居で常に歓声に包まれていたグリザベラでしたが、いつしか落ちぶれてノラ猫にやつしていたのです。しかしかつての栄光が忘れられず、歌い上げられるのが最初の『メモリー』だったのです。その歌詞も歌い方も、か弱く、悲しみに満ちていました。しかし、本作の主人公である迷い猫ヴィクトリアと出会ってから、希望を取り戻し、明日に向かって力強く歌い上げられるのが、二度目の『メモリー』でした。
 挫折を乗り越えて、ポジティブに生きようとするグリザベラの変化と決意する姿には、同じように辛酸を味わって落ち込み気味の方に、深い共感を感じさせてくれるものでした。まさに『人生が変わる』作品といえるでしょう。

 過去の栄光に引きずられるあまり誰からも相手をされなかった孤独な状況にも居直っていたグリザベラでしたが、長老猫のデュトロノミーからの言葉で、いじけていた自分を反省して、再生を誓うのでした。そんな気持を認めたデュトロノミーは、グリザベラを真のジェリクルキャッツと認め、仲間の猫たちに推薦します。
 劇中ジェリクルキャッツはなんにゃのか、よく分かりませんでした。ジェリクルキャッツとは人間に飼い慣らされることを拒否して、逆境に負けずしたたかに生き抜き、自らの人生を謳歌する強靭な思想と無阻の個性,行動力を持つ猫とのことなんだそうです。
「組織に染まらず‥」と書き換えれば,あっ心当たりある!なんて思える人はおおいのではないでしょうか(^^)

 本作では、そのジェリクルキャッツの最優秀を決める舞躇会が開かれるという設定となっていて、本来仲間はずれになっていたグリザベラもデュトロノミーの計らいで参加できるようになりました。

 ただ舞踏会で最優秀と認められるとある特典が与えられることになっているのですが、本当に特典なのかどうかつよく疑問に思えます。
 本来はグリザベラは娼婦猫という設定だから、この特典も納得できたのです。もともとグリザベラのキャラクターのベースとなっているのは、イエスさまの妻となったマグダラのマリアなのだそうです。人を見た目や外見で判断してしまって本質を見ようとないことへの啓発としてマグダラのマリアに似せてグリザベラが設定されていたのでした。だから娼婦猫であることに意味があったのです。古来より娼婦は宗教的に罪とされたけれど、特典により罪が許されることになったのです。それが娼婦猫から、舞台猫に変更されることで、そもそもの特典の意味がわからなくなったことは残念です。

 外国の評論家たちから気持ち悪いと酷評されている猫のコスチュームですが、わたしはいいと思いました。ピクピク動く耳、なめまかしくクネクネ動くしっぽ。あれって実物でしょうか、それともCGでしょうか。加えて顔をスリスリしあう仕草など、かなりホンモノの猫に近いきめ細かい演出にとても満足しました。

 面白いのは、本作に登場するのは当然猫ばかりだと思い込んでいたのですが、そうではなかったことです。昼間は寝てばかりのでぶっちょなおばさん猫であるジェニエニドッツの登場シーンでは、なんと彼女がディナー用の食糧として飼っているネズミとゴキブリが登場していました。両者ともちゃんと人間の俳優さんたちが演じていたのですよ。とっても楽しく、ユーモラスなシーンでした。

 最後に、もともと本作の原題は『ポッサムおじさんの猫とつき合う法』というものだったそうです。だから、本作の結論として、長老猫が仲間猫を集めて、スクリーンを見つめている人間たちに向けて、猫は犬ではないとコンコンと説教を始めるのです。有名なミュージカルの内容が、ネコ側の立場にたって、人間に対しネコと遭遇したときの心得をとくものだったとは意外でした(^^ゞ



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