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2022年04月08日03:35

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実話

■入学式、100人に制服届かず=販売会社「申し訳ない」―東京
(時事通信社 - 04月07日 12:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6914341

自分が昔働いていた会社は卒業文集やアルバム制作をしていた。
一応全国15カ所ほど支社があり、東京が本社だったが、自分がいた名古屋支社には7人が在籍していた。自分は中途入社だったが、印刷会社での経験が3年あったので、最初からチームリーダーに採用された。

そこで入社早々本社での経営者会議の場に参加する事になった。その場で変な話を聞く。
「各支社は今年度の受注分の前金を急ぐように。これは社長通達です。」

この会社は来年の卒業アルバムなどを受注すると、6~7月に半金、残りは納品後に回収に行く事になっている。この会議の時点ではまだ2月の頭である。理由を尋ねたが明確な回答はなく、ただ「学校側には納期を急がせる為に必要だと説明しなさい。」との事。

仕方なく支社長と二人で相談し、全員で各校へ説明に回る。
その後、1週間ほど経ったある日、「急遽長野の工場へ各支社から数名人員補充せよ、と本社から通達がきた。名古屋からは1人でいい。誰か行ける者はいないか?」と。

正直、先生に毎日例の前金の事で文句を言われ続ける日々に嫌気が差していた俺は、「自分が行きましょうか?」と手を挙げた。「おお、行ってくれるか。君なら工場経験もあるし問題ないだろう。頼むぞ」と送り出される。

さて工場は茅野市の山中にあった。諏訪湖を経由して雪道を走り、ちょっと不安にもなったが、半分観光気分で向かっていた、そう・この時までは。

工場に着くと工場長が出迎えてくれた。現地のパートさんらが20人ほど働いている。
各支社から集められた30人と顔合わせをして、工場長から仕事内容を聞く。
自分は印刷機械も扱えるし、製本機も扱える、と言う事で、部署を1つ任される事になった。早速現場へ入り、現場の人達に挨拶をする。
そして生産スケジュールの確認を・・・「は?」思わず目を丸くして驚いた。

そこにあったカレンダーには、休みは1日もなく・・・どころではなく、休憩も機械の停止時間も一切ないスケジュール。365日24時間稼働の予定が・・・

「工場長、なんですかこれは?」
パートさんは17時には全員帰っていく。残されるのは素人の営業マンだけだ。
それで朝まで稼働しろ、と?正気ではない。まともな物が作れるはずはない。
色見も見当合わせも調色も出来ないド素人でどうやって作れ、と?

工場長に食って掛かるが「すまない、ただ作らないと来年の卒業式でアルバムがない学校が何十校も出てしまう。私も本社と掛け合ったが社長から作れ、とだけ・・」と要領を得ない。そうこうべを垂れられては仕方がなく、各営業マンは自分の仕事を始める。

1日の予定:朝6時起床職場で作業に入る。8時にパートさんらが来るので、社員は食事に。(30分)そこから翌朝3時まで仕事。休憩は・・・ない。
3時間後の起床時間までに入浴して眠る。

最初の1日でおよそ半分の社員が逃げた。
1週間後残っているのは5人だけ。
2週間後、とうとう自分一人だけになった。
それでも「1校でも多くの生徒にアルバムを渡したい」と使命感に燃えていた俺は、一人で印刷機を回し、紙を積み、裁断機を使い・・・狂ったように働いた。

21時間労働を45日間、1日の休みもなく働いた。46日目、工場長が「もういいよ」と。
「私は辞める。パートさんも解雇した。工場は閉める。」と言われた。
本社にも打診して許可が出たらしい。どうも本社でも何かあったらしい。
一応、途中で給料日があり、振り込まれていたが、明細には「残業50時間」しか付いていなかった。実質は300時間超ですが・・・ただこれでも工場長が配慮してくれて、自分の裁量で付けられるだけ残業付けてくれたらしい。

こうして名古屋に帰る事になった。
早速名古屋支社に顔を出すと、朝から見知った顔の二人が口論している。
支社長と自分の同期の中途入社した奴だ。
話を聞くと、名古屋では給料がまだ支払われていないそうだ。
どういう事?と聞くと支社長が言うには、「社長が金を集めて夜逃げした」とのこと。
それで本社では、とにかく残った資産でパートさんを雇った工場へ給料を回し、正社員ばかりの支社には遅延している、と。

長野で工場長が言っていた「本社で何かあった」とはこのことだったのだ。
結局殴り掛からん勢いで支社長に怒っていた同期をなだめ、営業で残っていた人には、「もう受注は一切受けないように」と指示。編集の人も帰ってもらった。

支社長と二人で話したかったからだ。もう会社が終わりな事は目に見えている。
工場で全国の受注状態と確実に起きる契約不履行(つまり卒業アルバムが納品できない)で社長が逃げ出したとなればどう足掻いても無理だろう。(社長が逃げた=銀行融資が受けられなかったと推察される。)

その1ヵ月後、電話があり、支社長と会った。
一応整理が付いたので、ハロワで申請すれば、給料の残金の6割は受け取れます、と。
だがその書類は受け取らなかった。自分だけは長野で給料をもらっているので、実質的な損害は半月分だけだ。他の社員は1ヵ月分以上損しているので俺だけ余分にもらうわけにはいきません、と断った。

氷点下10度の長野工場での経験は人生で1番苦しかった。
社長が夜逃げ、なんてのを初めて経験した。
支店をたたみ、会社が倒産するのを初めて経験した。
酷い目には遭ったが、色々経験できたよ。2度とごめんだが(笑)
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