今日の出来事：１７１４年−絵島生島事件、１９３６年−二・二六事件発生、１９６６年−ベトナム戦争：ゴダイの虐殺
今日は、絵島生島事件です。絵島生島事件は、江戸城大奥御年寄・絵島が歌舞伎役者の生島新五郎らを相手に遊興に及んだ事が引き金となり、関係者多数が処罰された綱紀粛正事件です。１７１４年２月２６日、七代将軍・徳川家継の生母・月光院に仕える御年寄・絵島は主人の名代として前将軍・徳川家宣の墓参りのため、奥女中・宮路らと共に寛永寺、増上寺へ参詣しました。その帰途に懇意にしていた呉服商・後藤縫殿助の誘いで木挽町（現在の東京都中央区東銀座界隈、歌舞伎座周辺）の芝居小屋・山村座にて生島新五郎の芝居を見ました。芝居の後、絵島は生島新五郎らを茶屋に招いて宴会を開きましたが、宴会に夢中になり大奥の門限に遅れてしまいました。大奥七ツ口の前で通せ通さぬの押し問答をしている内に、この事が江戸城中に知れ渡り、評定所が審理する事になりました。当時の大奥には、七代将軍・徳川家継の生母・月光院を中心とする勢力と前将軍・家宣の正室・天英院を中心とする勢力とがありました。月光院が家継の学問の師である新井白石や側用人・間部詮房らと親しい事から、大奥では月光院側が優勢でした。この事件は天英院側にとって、勢力を挽回するための絶好の機会でした。天英院は家宣・家継の元で「正徳の治」を断行、幕政を牛耳っていた新井白石・間部詮房を追い落とすため、譜代大名や五代将軍・綱吉時代からの老中達と、この事件を画策しました。評定所や江戸中町奉行・坪内定鑑、大目付・仙石久尚、目付・稲生正武らによって関係者が徹底的に調べられ、それにより大奥の規律の緩みが次々と明らかにされました。絵島は生島新五郎との密会を疑われ、評定所から下された裁決は死一等を減じての遠島（島流し）でした。連座して、旗本であった絵島の兄・白井平右衛門は武士の礼に則った切腹ではなく斬首、弟・豊島常慶は重追放となりました。月光院の嘆願により、絵島についてはさらに罪一等を減じて高遠藩・内藤清枚にお預けとなりましたが、事実上の流罪でした。絵島の遊興相手とみなされた生島新五郎は三宅島への遠島、山村座座元の五代目・山村長太夫も伊豆大島への遠島となって、山村座は廃座となりました。この巻き添えを食う形で、江戸中にあった芝居小屋は簡素な造りへ改築を命ぜられ、夕刻の営業も禁止されました。この他、取り巻きとして利権を被っていた大奥御殿医・奥山交竹院とその弟の水戸藩士、幕府呉服師の後藤とその手代、さらには材木商らも遠島や追放の処分を受けるなど、大奥の風紀粛正のために多数の連座者が出され、最終的に５０人近くの人が罰せられました。この事件により天英院側が優勢となり、２年後の１７１６年に徳川家継が亡くなると、天英院が推していた紀伊藩主・徳川吉宗が八代将軍となりました。そのため、この事件が将軍決定を巡る謀略との説もありますが、江戸幕府を牛耳っていた新井白石・間部詮房を追放するために天英院と譜代大名や老中がでっち上げたという説もあります。
次に、二・二六事件発生です。二・二六事件は、１９３６年２月２６日〜２月２９日にかけて、日本の陸軍皇道派の影響を受けた青年将校らが１４８３名の兵を率い、「昭和維新断行・尊皇討奸」を掲げて起こしたクーデター未遂事件です。革命的な国家社会主義者・北一輝が記した「日本改造法案大綱」の中で述べた「君側の奸」の思想の下、天皇を手中に収め、邪魔者を殺して皇道派が主権を握る事を目的とした「昭和維新」、「尊皇討奸」の影響を受けた安藤輝三、野中四郎、香田清貞、栗原安秀、中橋基明、丹生誠忠、磯部浅一、村中孝次らを中心とする尉官クラスの青年将校は、政治家と財閥系大企業との癒着が代表する政治腐敗や、「世界大恐慌」から続く深刻な不況等の現状を打破する必要性を声高に叫んでいました。大日本帝国陸軍内の派閥の一つである「皇道派」の影響を受けた一部青年将校らは、「昭和維新・尊皇討奸」をスローガンに、武力を以て元老重臣を殺害すれば天皇親政が実現し、彼らが政治腐敗と考える政財界の様々な現象や農村の困窮が収束すると考えていました。彼らは、この考えの下に１９３６年２月２６日未明に決起しました。反乱部隊は蹶起した理由を「蹶起趣意書」にまとめ、天皇に伝達しようとしました。反乱軍は襲撃先の抵抗を抑えるため、前日夜半から当日未明にかけて連隊の武器を奪い、陸軍将校等の指揮により部隊は出動しました。歩兵第１連隊の週番司令・山口一太郎大尉はこれを黙認し、また歩兵第３連隊の週番司令・安藤輝三大尉が指揮をしました。「二・二六事件」は以下のように行われました。
�ー鸛蝓Σ�田啓介襲撃
天皇大権を掣肘する「君側の奸」として内閣総理大臣・退役海軍大将の岡田啓介が襲撃の対象となりました。全体の指揮を中尉・栗原安秀が執り、第１小隊を栗原自身が、第２小隊を少尉・池田俊彦が、第３小隊を少尉・林八郎が、機関銃小隊を曹長・尾島健次が率いました。反乱部隊が総理大臣官邸に乱入する際、官邸警備に当たっていた巡査部長・村上嘉茂衛門（官邸内で殺害）、巡査・土井清松（林八郎を取り押さえようとするが、殺害される）、巡査・清水与四郎（庭）、巡査小館喜代松（官邸玄関）の４名の警察官が拳銃で応戦しましたが、襲撃部隊の圧倒的な兵力により殺害されました。警察官の応戦の隙に岡田啓介は女中部屋の押入れに隠れました。その間に岡田啓介の義弟で総理秘書官兼身辺警護役をつとめていた予備役陸軍大佐・松尾伝蔵は、反乱将校らの前に自ら走り出て銃殺されました。松尾伝蔵はもともと岡田啓介と容姿が似ていた上、銃撃によって前額部が大きく打ち砕かれて容貌の判別が困難になったため将校らは岡田総理と誤認し、目的を果たしたと思い込みました。一方、総理生存を知った総理秘書官・福田耕と総理秘書官・迫水久常らは、麹町憲兵分隊の憲兵曹長・小坂慶助、憲兵軍曹・青柳利之及び憲兵伍長・小倉倉一らと奇策を練り、翌２７日に事件中の警戒厳重な兵士の監視の下で首相官邸への弔問客が許可されると、岡田啓介と同年輩の弔問客を官邸に多数入れ、変装させた岡田啓介を退出者に交えて官邸から脱出させました。
��大蔵大臣・高橋是清襲撃
元総理で大蔵大臣・高橋是清は陸軍省所管予算の削減を図っていたために恨みを買い、襲撃の対象となりました。積極財政により不況からの脱出を図った高橋是清でしたが、その結果インフレの兆候が出始め、緊縮政策に取りかかりました。高橋是清は軍部予算を海軍・陸軍を問わず一律に削減する案を実行しようとしましたが、これは平素から海軍に対する予算規模に不平不満を募らせていた陸軍軍人の恨みに火を付ける形となりました。叛乱当日は中尉・中橋基明と少尉・中島莞爾が襲撃部隊を指揮し、赤坂表町３丁目の大蔵大臣・高橋是清の私邸を襲撃しました。警備の巡査・玉置英夫が奮戦しましたが重傷を負いました。反乱部隊は高橋是清の殺害に成功しました。高橋是清は事件後に位一等追陞されるとともに、大勲位菊花大綬章が贈られました。
�Ｆ眤膺叩�斎藤実襲撃
前総理・子爵・退役海軍大将で内大臣・斎藤実は、天皇の側近である内大臣の地位にあった事から襲撃を受けました。襲撃部隊は、中尉・坂井直、少尉・高橋太郎、少尉・麦屋清済、少尉・安田優が率いました。東京府東京市四谷区仲町三丁目（現：東京都新宿区若葉一丁目）の内大臣・斎藤実の私邸が襲撃されました。襲撃部隊は警備の警察官の抵抗を制圧して、特に抵抗もなく内大臣の殺害に成功しました。斎藤実の体からは四十数発もの弾丸が摘出されましたが、全てではなく、彼の体には摘出不可能な弾丸が多く存在していました。目の前での殺人に妻・春子は「撃つなら私を撃ちなさい」と、銃を乱射する青年将校たちの前に立ちはだかり、筒先を掴もうとしました。その結果、腕に貫通銃創を負いました。春子はひるまず、なお斎藤実を庇おうと彼に覆いかぶさりました。春子の傷口はすぐに手当がなされましたが化膿等により、その後一週間以上高熱が下がりませんでした。事件後に位一等追陞されるとともに大勲位菊花大綬章が贈られ、昭和天皇より「誄」（お悔やみの言葉）を賜りました。
�せ�従長・鈴木貫太郎襲撃
侍従長（予備役海軍大将）鈴木貫太郎は、天皇側近の侍従長でした。大御心の発現を妨げると反乱将校が考えていた枢密顧問官の地位にいた事から、襲撃を受けました。叛乱当日は、大尉・安藤輝三が襲撃部隊を指揮し、東京市麹町区（現：東京都千代田区）三番町の侍従長公邸に乱入しました。鈴木貫太郎は複数の銃弾を撃ち込まれて瀕死の重傷を負いましたが、妻・鈴木たかの懇願により大尉・安藤輝三は止めを刺さずに敬礼をして立ち去りました。その結果、鈴木貫太郎は辛うじて一命を取り留めました。安藤輝三は、以前に侍従長・鈴木貫太郎を訪ねて時局について話を聞いた事があり、互いに面識がありました。その時、鈴木貫太郎は自らの歴史観や国家観などを安藤輝三に説き諭し、安藤輝三に深い感銘を与えました。その後、太平洋戦争末期に内閣総理大臣となった鈴木貫太郎は、総理・岡田啓介を救出した総理秘書官・迫水久常（鈴木内閣で内閣書記官長）の補佐を受けながら、終戦工作に関わる事となります。鈴木貫太郎は生涯「あの時、安藤輝三が止めを刺さなかった事で助かった。安藤輝三は自分の恩人だ。」と語りました。
�ザ軌藾躊董ε亙嫋�太郎襲撃
陸軍教育総監（陸軍大将）渡辺錠太郎は、真崎甚三郎の後任として教育総監になった直後の初度巡視の際、真崎甚三郎が教育総監の時に陸軍三長官打ち合わせの上で出した国体明徴に関する訓示を批判し、「天皇機関説」を擁護しました。これに青年将校らは大いに怒り、襲撃を受ける事になりました。内大臣・斎藤実の私邸襲撃後の少尉・高橋太郎と少尉・安田優が襲撃を指揮しました。時刻は午前６時過ぎに、東京市杉並区上荻窪２丁目の教育総監・渡辺錠太郎の私邸が襲撃されました。その際、牛込憲兵分隊から派遣されて警護に当たっていた憲兵伍長及び憲兵上等兵並びに渡辺錠太郎は、反乱部隊に拳銃で応戦しましたが殺害されました。死の直前、殺されるであろう事を感じた渡辺錠太郎は傍にいた次女・渡辺和子を近くの物陰に隠し、直後にその場で殺害されました。目前で父を殺された彼女の記憶によると、機関銃掃射によって渡辺錠太郎の足は骨が剥き出しとなり、肉が壁一面に飛び散ったと言います。事件後、渡辺錠太郎は位階を一等追陞され、勲一等旭日大綬章が追贈されました。
�η貅漾λ厂鄂�顕襲撃
伯爵・牧野伸顕は欧米協調主義を採り、かつて内大臣として天皇の側近にあった事から襲撃を受けました。航空兵大尉・河野寿は民間人を主体とした襲撃部隊（河野大尉以下８人）を指揮し、湯河原の伊藤屋旅館の元別館である「光風荘」にいた前内大臣・牧野伸顕を襲撃しました。警護の巡査・皆川義孝は河野寿らに拳銃を突きつけられて案内を要求され、従う振りをしながら振り向きざまに発砲し、襲撃部隊の大尉・河野寿と予備役曹長・宮田晃を負傷させました。襲撃部隊によって巡査・皆川義孝は殺害されましたが、これによって牧野伸顕は襲撃を受けずに済みました。脱出を図った牧野伸顕は襲撃部隊に遭遇しましたが、旅館の従業員が牧野伸顕を「ご隠居さん」と呼んだため、旅館主人の家族と勘違いした兵士によって石垣を抱え下ろされ、近隣の一般人が背負って逃げました。この際、旅館の主人・岩本亀三と牧野伸顕の使用人で看護婦・森鈴江が銃撃を受けて負傷しました。
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当時、不穏な世情に対応するため警視庁は特別警備隊を編成したため、反乱部隊にとっては脅威とされました。戸川猪佐武は、警視庁は青年将校たちが数日前より不穏な動きを見せているとの情報を把握しており、内大臣・斉藤実にそれを知らせましたが問題にされませんでした。２６日早朝、大尉・野中四郎が指揮の約５００人の襲撃部隊が警視庁を襲撃しました。午前５時に襲撃部隊はその圧倒的な兵力と重火器によって、抵抗させる間もなく警視庁全体を制圧して「警察権の発動の停止」を宣言しました。警察はこの事件は、陸軍将校が軍隊を率いて重臣・警察を襲撃した事から、陸軍、憲兵隊による鎮圧を求めました。警視庁は「非常警備総司令部」を神田錦町警察署に設けました。警視庁占拠後、警視庁襲撃部隊の一部は、治安維持を担当する後藤文夫の内務大臣邸も襲撃し、占拠しました。歩兵第３連隊の少尉・鈴木金次郎が襲撃部隊を指揮していました。後藤文夫は外出中で無事でした。
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更に、反乱部隊は陸軍省及び参謀本部、東京朝日新聞なども襲撃し、日本の政治の中枢である永田町、霞ヶ関、赤坂、三宅坂の一帯を占領しました。
��戒厳令へ
事件後まもなく、北一輝のもとに渋川善助から電話連絡によって蹶起の連絡が入りました。同じ頃、大将・真崎甚三郎も政治浪人・亀川哲也からの連絡で事件を知りました。真崎甚三郎は大将・加藤寛治と伏見宮邸で会う旨を決めて陸相官邸へ向かいました。午前５時頃、反乱部隊将校の大尉・香田清貞と村中孝次、磯部浅一らが中尉・丹生誠忠の指揮する部隊とともに、陸相官邸を訪れました。６時半頃に陸軍大臣・川島義之と会見し、香田清貞が「蹶起趣意書」を読み上げ、蹶起軍の配備状況を図上説明し、要望事項を朗読しました。午後になると閣僚が集まりはじめ、午後９時に内務大臣・後藤文夫が首相臨時代理に指名されました。後藤文夫首相代理は閣僚の辞表をまとめて天皇に提出しましたが、時局の収拾を優先せよと命じて一時預かりとしました。その後、閣議が開かれて午後８時４０分に「戒厳令施行」が閣議決定されました。
最後に、ベトナム戦争：ゴダイの虐殺です。ゴダイの虐殺は、「ベトナム戦争」時にベトナムビンディン省で、韓国軍が住民３８０人を虐殺した事件です。１９６６年２月２６日、南ベトナムのビンディン省タイソン県ビンアン村のゴザイ集落を訪れた韓国陸軍首都機械化歩兵師団（猛虎部隊）は、住民３８０人を集めると１時間のうちに１人残らず虐殺しました。首都師団は「ゴダイの虐殺」と並行して、ビンアン村の近隣にあるタイヴィン村で「タイヴィン虐殺」を行いました。１９６６年１月２３日〜２月２６日にかけて、韓国陸軍首都機械化歩兵師団（猛虎部隊）は、南ベトナムビンディン省タイソン県タイヴィン村の１５集落の村民１２００人を虐殺しました。
今日の誕生日：ヴィクトル・ユーゴー、与謝野鉄幹、河東碧梧桐、岡本太郎、南郷茂男、竹下登（第７４代内閣総理大臣）、五社英雄、愛新覚羅慧生、門田博光、海江田万里、桑田佳祐（サザンオールスターズ）、鈴木淑子、森英治（ピカソ）、初芝清、三浦知良、大塚久美子、遠藤一馬（元ＳＩＡＭ ＳＨＡＤＥ）、ハウス加賀谷（元松本ハウス）、草野康太、Ｌｉｎａ「松田律子」（ＭＡＸ）、藤本美貴（元モーニング娘。）、加賀美早紀、Ｃｒｙｓｔａｌ Ｋａｙ、田中シングル（８．６秒バズーカー）、貴ノ岩義司、篠崎愛、松島幸太朗、カネヒキリ
今日の記念日：二・二六事件の日、脱出の日、咸臨丸の日、血液銀行開業記念日、包むの日
今日の「今日訓」：本日は、１９３６年に「二・二六事件」が発生した事で「二・二六事件の日」、１８１５年、エルバ島に流刑となっていたナポレオン・ボナパルトが島を脱出してパリに向かった事で「脱出の日」、万延元年２月２６日、幕府が派遣した使節団が「咸臨丸」による３７日間の太平洋横断航海を終えて、サンフランシスコに到着した事で「咸臨丸の日」、１９５１年に日本初の血液銀行「日本ブラッドバンク」が大阪に開業した事で「血液銀行開業記念日」、「つ（２）つ（２）む（６）」の語呂合わせで「包むの日」となりました。
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