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2019年12月10日22:41

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「ひとよ」@シネクイント

白石和彌監督最新作ぴかぴか(新しい)鈴木亮平、佐藤健、松岡茉優が三兄妹で母親が田中裕子って、絶対観るに決まってるじゃんexclamation ×2とすごく楽しみにしていたこの作品。公開初日に会社帰りにお一人様で。

************** 重要部分ネタバレなし **************

どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った—。たった一晩で、その後の家族の運命をかえてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えた心の傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家の元に、母・こはるが帰ってきた。15年前、母の切なる決断と残された子どもたち。皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした彼らがたどりつく先はー。

原作は劇団KAKUTA主宰で劇作家、演出家、女優としても活躍する桑原裕子さんの戯曲で、2011年に初演されたものだそう。2019年は「麻雀放浪記2020」、「凪待ち」、今作と公開が相次ぐ白石和彌監督。2013年の「凶悪」から観続けている好きな監督だが、今回も考え出すと止まらなくなるような、なかなか奥深い作品を世に送り出してくれたわーい(嬉しい顔)

ひどい暴力を子供たちにも度々振るっていた夫を殺した母は、これで子供たちの未来を守れる、怯えて暮らすこともないと自身の行為を正当化。(しているようなセリフが後にもある。)雨に打たれた寒さと殺人を犯した異常な精神状態で手が震えながらもどこか清々しい表情。一方では冷静さもあって、たぶんこれくらいの刑だろうと考えて「15年後に戻ってくる」と言い残す。

この冒頭から否応なく入り込まされるが、これほどの勇気や子供たちを守る強い覚悟があったなら、もっと別の道を選べなかったのかと無念さとモヤモヤを拭えない気持ちもあった。それを言っちゃあ、物語が始まらないよって話なんだけどあっかんべーなので、こはる自身が愛した夫の惨い行為や変わり様に耐えられなかった、自分への暴力にも恐怖していたという解釈をして、私の中では納得させた。

こんな感じで三人の母への対応とか、タクシー会社の社員の言動なども様々な捉え方ができる描き方なので、観客に考える余地をたくさん与えるという部分ではいい映画だなと思う。誰かと一緒に観たら、きっとあれやこれや話が弾むはずexclamation

メイン4人は期待を裏切らない素晴らしい演技で、それだけでも十分観る価値があると思う指でOK演者の力はもちろん、監督の役者の力を最大限に引き出す手腕にも大いに拍手を送りたい。また、諸々の賞レースに絡んでくるかな。

出演は、佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 音尾琢真 筒井真理子 浅利陽介 韓英恵 MEGUMI 大悟 佐々木蔵之介 田中裕子といった面々。白石組常連の音尾さんはいつになくいい人の役なんだけど、やっぱり上手いなと感心。佐々木さんの役と離婚した妻側にいる17歳の息子とのエピソードは結構雑で必要だったのかちょっと疑問。

かなりシビアな話ながら時にユーモアも交えて描いており、最終的にはどんよりと暗い気分だけでは終わらない点は救いがあるかも。他愛もないことで笑い合ったり、煙草を吸ってだらだらしてる何気ないシーンが案外心に残った。
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