mixiユーザー(id:4778237)

2020年01月18日08:50

839 view

【番外編】作曲家古関裕而をテーマにしたNHK朝ドラ「エール」が春に始まる

 フランク永井は戦後の昭和歌謡の代表的な歌手だが、その歌謡界では忘れてはならない偉大なクリエータ・アーティストがいる。恩師吉田正ももちろんだが、作曲家の世界には盟友だった渡久地政信、ライバルでもあった古賀政男、遠藤実。中村八大、浜口庫之助、船村徹、宮川泰、服部良一もあげられる。
 そうしたなかで、コロンビアには古関裕而という作曲家がいる。生涯で5000曲以上を作った昭和を代表する作曲家の一人だ。古関裕而が日本のスポーツ界に多くの曲を作っている。印象的な曲が多く、もっとも有名なのではないだろうか。球界の殿堂入りに加えてもいいという声まである。
 その古関裕而をモデルにしたNHK朝ドラが今年の春から始まるのが決まっている。オリンピックを盛り上げる一般で、政権とNHKが取り組んでいるのだろう。東日本大震災、福島原発事故で多くの犠牲者が出て、今も復興で奮闘されているのを支援するという意味も重なっている。
 興味ある分野のテーマであり、古関裕而がそのモデルだとするなら、展開が楽しみである。
 昭和の歌謡曲を体験している人なら、古関裕而の名は誰もが知っている。それは、彼があまりにも多く聴いて耳に残る、後々まで心に残る歌を作ったからに違いない。
 古関裕而は初期からにコロムビア・レコードに縁が深く、正式には戦後専属になった。日中戦争時に軍歌「露営の歌」が大ヒット。戦後は「長崎の鐘」などの鎮魂歌、ラジオドラマ主題曲「鐘の鳴る丘(とんがり帽子)」「君の名は」を作況した。高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」、東京五輪開会式行進曲「オリンピックマーチ」など流行歌から応援歌まで多くの名曲を残した。
 また、古関裕而の功績は各種学校の校歌や地域のご当地ソング、企業の社歌等での数えられないほどの曲を提供していることだ。
 藤山一郎、伊藤久男をはじめ二葉あき子など多くの歌手にもめぐまれた。戦後は劇作家菊田一夫との名コンビを組んで名作を残した。「夜霧の…」を多く歌うことでフランク永井=夜霧のような印象を作ったように、古関裕而は「鐘」を多く作っている。
 この時代は「戦争」の遺恨が根深く世を覆っていたのも事実。戦争で百万のオーダーの民と兵士が犠牲を受けた。その鎮魂歌として「鐘」が連想させたこともある。
 古関裕而の業績でそうとう以前によく言われたことがあり、記憶に残っている。それは、先の戦争のときに積極的な戦争協力者だったといい噂だ。戦争反対を強くいう人たちから見たら、確かに「いいのか」と思ったのであろう。
 だが、古関裕而を責めるのは酷だと思う。当時の圧倒的な数の民の心底では戦争は望んでいなかったのは事実だが、同時にあの戦争をとどめられなかったのもその民だからだ。古関裕而にせよ、見事な軍歌を歌って奮い立たせた伊藤久男にしても、軍の要請を拒否することなど選択肢にななかった時代だった。
 エンジニアもアーティストも一般的に汚い政治の世界とは距離をもち、己の関心事に没頭したいというのが多いもの。だから、いったん命令とはいえ与えられたテーマを満足いくまで突き詰める。これが、結果として抜きんでた成果をだした。「米英撃滅の歌」(山田耕筰)や「海ゆかば」(信時潔)も同じだ。
 作曲した古関、山田、信時や歌った伊藤に非を突き付けても何の意味をなさない。大政翼賛会として政治的に利用した側の方向にこそ目を向けるべきものだろう。
 戦後は破壊されて暗い戦後の気持ちを少しでも明るくしようという方向の曲を多数手がけた。鎮魂の鐘シリーズ、初めてアイヌを歌にした「イヨマンテの夜」んど数えきれない。この実績をも高く評価したい。

 フランク永井はビクターで、専属制時代ゆえに古関裕而の曲は歌っていない。カバーも記録がない。だが、フランク永井の熱心なファンの一人で、さまざまなことでお世話をいただいている、前橋の方がおられる。
 品川ヤイさんである。宮城県大崎市ですでに恒例となっている「フランク永井歌コンクール」に毎回、前橋チームとして多数の参加をしている。この品川さんが前橋で児童養護施設「鐘の鳴る丘少年の家」を営まれている。
 これこそ、戦後の多数の戦争孤児への対応という大きな課題であったことおテーマにして、NHKでドラマを放送したもの。それに呼応して資材を投じて設立したもの。ドラマは菊田一夫が台本を書き、音楽は全面的に古関裕而が担当した。主題歌「とんがり帽子」を歌ったのは川田正子で、誰もが口ずさんだもの。「鐘の鳴る丘少年の家」については、以前のこのコラムで紹介している。1917年7月。品川さんはフランク永井の鉛筆画を多数描いていて、作品を展示室で公開されている。(http://www.wind.sannet.ne.jp/guitar/sab3.html
 古関裕而については自伝的な書を残している。「古関裕而―鐘よ鳴り響け」で、最近に集英社から再販が出版されている。NHK朝ドラやオリンピックとの連携だが、彼が活躍した時代とのかかわりがよくあらわされている。またいくつかのCD-BXも発売されている。
4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年01月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031