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2019年10月23日14:45

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巨人の星

2019年10月22日
「巨人の星」原作 梶原一騎 作画 川崎のぼる
全19巻を読了。

すごい作品だった。
途中から読む手が止まらなかった。
川崎のぼるの絵、表現はすばらしい。

巨人の星は、言うまでもなくアニメで人気に火が付いた。大リーグボールをめぐる好敵手たちとの対決に手に汗を握り、何度となく再放送を見てきた。
だが、嫌いな部分もあった。
・主人公が周囲に誤解される場面で、異常なまでの分からずやの言葉で包まれ、孤立する。この手法は名作劇場でもしばしば見る。
・一徹の性格が頑なで、画一的に過ぎる性格。
・飛雄馬が繊細過ぎ、自己陶酔が過ぎる。
 また完璧主義の性格から、試合運びが下手で柔軟性がない。バカに見える。

まあ、巨人の星とは「そういうもの」と思い、脳内で補完して楽しんでいたが、漫画には上述したアニメの嫌いな要素がほとんどない。
主要な登場人物の性格や言動には一貫性があり、個々の内面を丁寧に描いている。
一徹と飛雄馬、二人の親子関係は、アニメでは屈折したものだったが、漫画では素直に受け止められる。
これは、川崎のぼるの絵の魅力によるところが大きい。
一徹の顔は、眉間にしわを寄せた険しい顔付きだけでなく、微笑みや子を慈しむ柔和な表情も見せる。
飛雄馬も同じで、シリアスな顔ばかりでなく、基本的にはさわやかだ。
子供時代の飛雄馬は、とても可愛らしい。一本気で気持ち良い。
花形、左門も同様だ。
もっとも表情豊かなのは伴忠太か。
人物描写にとても深みがある。

最終巻は刮目して臨んだ。
果たして飛雄馬の表情は神がかっていた。
穏やかで、静かで、哀しく、美しく、澄み切った表情。
まるで、死を受け入れたかのような厳かな美しさ。
まさしく飛雄馬は野球人として死を覚悟し、生命をこめて投げていた。
僕は、いや連載当時すべての読者は、飛雄馬のピッチングを息をのみながら見つめた。
最後の投球、破滅の音に、ずきりと胸が痛み、崩れ落ちた。
まぎれもない名作。




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