マツコ・デラックスの番組で新宿ゴールデン街を特集していた。ぼくが初めてゴールデン街に行ったのは20代のとき。伝説的バー「まえだ」だった。中上健次や野坂昭如などが来ていたバーで、ママはお客を「オマエ」といっていた。さいわい、ぼくはオマエとも呼ばれず、中上とも野坂とも会わなかった。拙著『職業外伝 白の巻』(ポプラ文庫)にゴールデン街の流し、マレンコフのことを書いた。マレンコフはスターリンのあとソ連の書記長になったマレンコフに当時（昭和二十九年頃）、黒ずくめの身なりだった日本のマレンコフの風貌がどことなく似ていたことから、そう呼ばれるようになった。写真は在りし日のゴールデン街で流していた頃のマレンコフ。マレンコフのことを書いた本は拙著しかないはずである。
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