『河神の誘惑』第8話 その夜も、アケローオスはサガとカノンを誘って外出に連れ出していた。 その日、河神が二人を連れて行った先はアテネ市にあるヘロデス・アッティコス音楽堂だった。古代ローマ時代に同名の富豪が建設した野外の音楽堂で、現在でも座席
『河神の誘惑』第7話 サガが定期報告のために教皇の間にあるアイオロスの執務室を訪れたのは、それからまもなくのことだった。「…というわけで、冥界は今のところ静かなようだ。冥闘士たちも冥界に閉じこもっている。だがこちらからの休戦協定の交渉再開の
『河神の誘惑』第6話「サガの奴、三日と開けずにアケローオス河神とデートしてるぞ」 にやにやと嫌味たらしく笑いながら、カノンが教皇の間にあるアイオロスの私室で彼に言った。 射手座の職務と兼ねる形で新教皇に任ぜられたアイオロスは、サガが過去に大
『河神の誘惑』第5話「まあ、そういうことだったのですね」 聖域に復命したサガとカノンから一連の出来事を聞いたアテナ沙織はころころと楽しそうな笑い声を立てた。「いささか拍子抜けでしたが、大事にならなくて何よりでした」 真面目腐った顔をしたカノ
『河神の誘惑』第4話「あの…アケローオス様、水魔退治のことですが…」「ああ。いつまでも昔話をしていても仕方ないな。そちらを片付けるか」 河神が腰を上げた。「こっちだ。来てくれ」 サガとカノンは顔を見合わせてうなずき、立ち上がった。カノンが双
『河神の誘惑』第3話 サガとカノンは客間とおぼしき広間に招かれた。自然の岩壁を滑らかに削った物が部屋の壁となっており、妖精や幻獣の姿を描いたタペストリーが飾られている。磨かれた石の床の中央には群れ遊ぶ魚たちを描いた鮮やかなモザイク画があり、
『河神の誘惑』第2話 アテネ市内の事務局でアイトリア地方まで行く手配をした後、二人は長距離バスで移動した。 アヘロオス河の流れるギリシャ北西部のアイトリア・アカルナニア地方は、はっきり言って田舎である。すでに初夏に入った季節の太陽は燦々とま
いつもの私の話とは別設定です。 ロスサガ前提ですがロスカノ、ラダカノ要素もあります。サガに対しては嫉妬深いくせに自分は遊び人のアイオロスが、サガと離れている間に彼をアケローオス河神に寝取られる話です。黒サガもちょっと出てきますが、神の考え