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2019年08月17日03:21

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『おとぎ話なラダカノ』第3話

『おとぎ話なラダカノ』第3話

 ラダマンティス王子とカノン姫は、丸一日、馬車を飛ばして、ハーデス王国を目指しました。
 カノン姫を宿舎に連れてきた弟に、ミーノス王子は卒倒しそうなほど怒りましたが、それでも二人を変装させて、替え馬までつけて、故国に急行する手配をしてくれました。
『とにかく、あなたたちは国に急ぎなさい。私のほうは人目をごまかすために、別ルートでゆっくり帰りますから』
 そしてラダマンティス王子とカノン姫は無事に国境の町につき、明日にはハーデス王国に入れるまでの距離に来ました。
「あ〜、いいお湯だった!」
 丸一日、馬車に乗って疲れたカノン姫は、取った旅館の部屋で湯舟につかり、疲労とほこりを洗い流しました。
「では、カノン王女…いや、カノン。今夜はここでゆっくり休んでくれ。明日の早朝にはハーデス王国に入れる」
 ラダマンティス王子がそう言って別に取った部屋に移ろうとすると、カノン姫は彼の服を引っ張りました。
「お、同じ部屋で寝ちゃダメかな、ラダ?」
「い、いや、でも結婚前の男女が同じ部屋では…」
 正式に結婚式を挙げるまでは、カノン姫の経歴に傷をつけたくないラダマンティス王子でした。駆け落ちまでしておいて、今さらです。
「でも…離れると不安だよ…」
 カノン姫が心細そうに目を伏せます。
「それに…おれ…」
「どうした、カノン?」
「あ、あのね…」
 カノン姫はもじもじしながら打ち明けました。
「ラダのことを考えると…お股の辺が変な感じになるの…。お、おれ、病気なのかも…!?」
 そういって足を内股にしてもじもじとするカノン姫の姿に、ラダマンティス王子は鼻血を吹き出しそうになりました。
「カノーンっ!」
 ラダマンティス王子はカノン姫の肩をつかみました。
「今夜、夫婦になろう!」
 やはり若い男は欲望に忠実でした。「カノン王女の経歴に傷をつけない」決意はどこへ行ったのでしょう。
 ですがカノン姫は、
「ラダと夫婦!?なる、なる!」
 と、意味はよく分かっていませんでしたが、大喜びでうなずきました。
 ラダマンティス王子はカノン姫を寝台に座らせました。そして繰り返し、愛らしい唇にキスをしました。
「ラダぁ…」
 舌足らずな声でカノン姫が言いました。
「やっぱり…変。ラダとキスすると…お股がまた変な感じになるのぉ…」
「大丈夫。楽にして」
 ラダマンティス王子はカノン姫の服を脱がせました。
「や…、恥ずかしいよ…」
 カノン姫は裸の胸を手で覆って隠しました。暗くしたランプの明かりにカノン姫の白い身体が浮かび上がります。その姿は白真珠の妖精のようでした。純真で、可憐で、初々しい姫君です。
 ラダマンティス王子はカノン姫の体を寝台に横たえさせ、雪白の肌にキスをしていきました。
「ああ…この小さな乳房に乳首…。まるでサクランボのようで可愛いな」
「やん…っ」
 まろやかな乳房を手で揉まれて、さらに赤い乳首を舌で転がされ、カノン姫は嬌声を上げました。
 ちゅ、ちゅ、とラダマンティスが白い胸にキスをするたびに、カノン姫は体を震わせました。相変わらず、足を内股にしてもじもじとしています。クリームのような柔らかい腹に、凝った脂のように滑らかな脇に、ラダマンティス王子は口づけて、赤い花びらのような跡を残していきました。

(以下はR-18なので省略)

 こうして二人は、何度も何度も愛し合って、秘密の初夜を過ごしたのでした。

 ハーデス王国に無事に着いたラダマンティス王子とカノン姫は、ラダマンティス王子の城であるカイーナ城で密かに暮らし始めました。
 しかし、いつまでもカノン姫の滞在を隠し通せるわけがありません。ひと月もしないうちに、カノン姫がカイーナ城にいることは、聖域王国のサガ姫の耳に入りました。
 そしてサガ姫は、妹姫を取り戻すために、自らハーデス王国の王宮・ジュデッカ城に乗り込んできたのでした。
 ジュデッカ城に乗り込んだサガ姫は、和平を破っての再びの戦争も辞さない覚悟で、「誘拐されたカノン王女の即時帰国」をパンドラ女王に要求しました。
 パンドラ女王はすぐさまラダマンティス王子をカノン姫とともに王宮に呼び出しました。そして王宮の広間でラダマンティス王子に再会したサガ姫は、彼の顔を見るなり、
「カノンを返せーっ!」
 と叫びました。サガ姫がラダマンティス王子につかみかからなかったのは、自制したからではなく、単にサガ姫の付き添いであるサジアリアス公爵家のアイオロス公子が、サガ姫を背後から羽交い絞めにして彼女の動きを止めたからです。
「どう、どう!落ち着けって、サガ!」
 荒馬を取り押さえるように、アイオロス王子はサガ姫を押さえました。
「放せ、アイオロスーっ!あの誘拐犯の首を引っこ抜いてやるー!」
「だから、やめろって!まずカノンの無事を確認するのが先だろ!?」
 サガ姫とカノン姫の幼馴染みでもあるアイオロス公子は、サガ姫よりよっぽど冷静でした。
 そして当のカノン姫が広間に姿を見せると、怒りから一転、サガ姫は今度は滝のような涙を流し始めました。
「ああ、カノン…」
 だーだーと涙を流すサガ姫は、妹姫に駆け寄ると、彼女を強く抱きしめました。
「おお、カノン、可哀想に…。あんな眉毛男にさらわれて、さぞ怖かっただろうな。もう大丈夫だ」
「あの…サガ…」
「何も言わなくていい。私と一緒に聖域王国に帰ろうな、カノン」
「いや、だから、ちょっと待てって、サガ」
 カノン姫は姉姫を体から引き離すと、きっぱりと言いました。
「おれは帰らないぞ、サガ!」
「カ、カノン…!?」
 おろおろとサガ姫がうろたえます。
「カノン、何も不安がることはないぞ?口さがない者もいるだろうが、必ず私が守ってやるから…」
「いや、だから帰らないって!」
「な、何か脅されているのか?それとも洗脳でも…」
「いや、そうじゃなくて!」
 聞く耳を持たない姉にいら立ちながら、カノン姫はラダマンティス王子の腕を取ると、彼を自分のすぐ側に引き寄せました。
「おれはこの国でラダと一緒に暮らすんだから!さっさと帰れよ、サガ」
「カ、カノン…!」
 自分を拒絶する妹姫に、サガ姫は愕然としました。いつだってカノンは自分と一緒で、自分の側にぴったりとくっついていたのに!
「ど、どうしてそんなことを…」
「おれはラダと愛し合ってるの!だから帰らない!ラダとずーっと一緒にいるの!」
「…そ、そんな…」
「それに、おれとラダはもう夫婦だから!」
 きっぱりとカノン姫が言い放ちます。その言葉の意味が分かった途端、サガ姫の顔は真っ赤になって、わなわなと震え出しました。
「ふ、夫婦って…!?」
「だから、もうおれとラダは契ったの!だから別れないし、帰らないの!」
「……」
 気恥ずかしそうに沈黙しているラダマンティス王子と、対照的に嬉しそうなカノン姫をしばらく黙って見つめていたサガ姫は、次に烈火のごとく怒り出しました。
「そ、そんな、結婚もしていないのに、そんなふしだらなこと…ゆ、許さんぞ、カノンーっ!」
「別にサガに許してもらわなくてもいいから!」
「よくない!それに…私に何かあったら、お前が聖域王国の後継ぎなんだぞ!国を離れるなど…許されない!」
「聖域王国の後継ぎはサガだろ!お前に何かなんて、考えたくもないし、知らねーよ!」
「それでも、お前は聖域王国の王女だ!結婚相手だって、ふさわしい人物を選ばねば…」
「だから、ラダでいいだろ!ほら、えーと、なんだっけ?おれたちが結婚すれば、おれたちの国の和平の保証に…」
 人から聞かされはしたが、あまり覚えていない小難しい理屈を、カノン姫が口にします。それはそれで筋の通った理屈でしたが、それでもサガ姫の心は変わりませんでした。
「だ、だめだ、だめだ、カノンーっ!いつまた戦争になるかもしれない相手と結婚なんて…だめだーっ!カノン、お前は私と国に帰るんだーっ」
「やだ!」
「私だって、お前と離れ離れなんて、やだーっ!」
 とうとうサガ姫の本音が出ました。なんだかんだ理屈をつけてますが、要は妹離れが出来てないだけなのです。
 姉の重い愛に一瞬だけ怯んだカノン姫ですが、負けじと言い返しました。
「いいだろ!おれはラダとこの国で幸せになるんだから!サガは、アイオロスと聖域王国で幸せになったらいいじゃん!」
 アイオロスの名が出た途端、サガ姫は露骨にうろたえ始めました。
「ど、ど、どうして、アイオロスの名前がここで…!?」
 カノン姫は得意顔で姉の秘密を暴露しました。
「へへーんだ!おれが知らないとでも思ってるのか!?アイオロスとお前がそういう仲だって、おれはちゃーんと知ってるんだからな!」
「カ、カノン…」
 急にもじもじと恥じらい始めたサガ姫に対し、カノン姫は精神的に優位に立ちました。
「だから、おれはラダと結婚するからさ!サガはアイオロスと結婚して、それで幸せになれよ!おれもサガに幸せになって欲しいしさ!やっぱり結婚は、好きな人とじゃないとな!」
 ラダマンティス王子と結ばれて新婚気分なカノン姫が、楽しそうに姉姫に言います。
「で、でも、アイオロスはサジタリアス公爵家の長男で、後継者だし…」
 いじいじと足先で床に輪を描きながら、サガ姫がまだ抵抗を示します。
「後継ぎなら、公爵家には次男のアイオリアもいるじゃん!それに養子を取ってもいいしさ。王位だって、シオン父様が新しい奥さんをもらって、弟か妹を作ればすむ話だろ。父様だってまだ若いし!」
「で、でも…だけど…」
「サガ」
 その時、ずっと黙っていたアイオロス公子がサガ姫の両手を握りました。
「サガ…こんな時に言うのも何だが、おれと結婚してくれ」
「アイオロス…」
「お前以外の相手など、おれには考えられない。父上たちは何としても説得するから」
 アイオロス公子の青い瞳が真摯にサガ姫を見つめます。
「ロス…」
「妹が心配なのは分かるが…。カノンも成長したんだ。そのカノンが選んだのが、ラダマンティスだ。彼を信頼してもいいんじゃないのか?」
「……」
「サガ、今のカノンが、不幸に見えるか?」
「ううん…」
 サガ姫は首を横に振りました。
「な?だから、カノンは大丈夫だ。カノンのことはラダマンティスに任せて、サガはおれとのことを考えてくれ」
「…うん…」
 サガ姫は力なく、そして寂しそうに、うなずきました。
「うん、分かった、アイオロス…」
 今まで黙っていたラダマンティス王子も、初めて口を開きました。
「サガ王女、どうかカノン王女との仲を許してほしい。必ず幸せにする。許しがもらえれば、正式に結婚式を挙げる」
「…カノンを不幸にしたら許さんぞ、ラダマンティス王子」
「うむ」
 そしてサガ姫は改めてカノン姫の手を握りました。
「ごめん、カノン…。ラダマンティスとのこと、父上に認めてもらえるように私も父上を説得するから…。でも、でも…」
 そして姉姫は双子の妹姫を抱きしめました。
「寂しいよぅ、カノン…」
「大げさだなぁ。これで今生の別れってわけじゃないんだから」
 カノン姫も姉姫との別れに寂しさを感じていましたが、あえて明るく言いました。
「アイオロスとの結婚式には呼んでくれよな、サガ!」
「お前も…」 
 そうして双子の姉妹は、互いの幸福を祈りました。

 その後、カノン姫はラダマンティス王子と、サガ姫はアイオロス公子と結婚しました。
 二組の夫婦は、いつまでもいつまでも、仲良く幸せに暮らしたのでした。
 めでたし、めでたし。

<FIN>

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