あれから８年

３月２４日といえばこの俺が倒れた日、あれからもう８年だ
震災と同じ月だからテレビを観ているだけで否応ナシに教えてくれる
８年か、長いものだ、ということはここに来て５年か
しゃべれないことにも体が思うように動かせないことにももうすっかり慣れてきてしまった
嫌だけど、なれてしまった
最近１年が長く感じるようになった
もともとは、分母の違いで子供より大人のほうが１年を短く感じるはず、という論者だった
でも今は違う、考えを改めた
記憶に残ることが少ないから１年が長いのだ、次から次へと時間を忘れられる出来事が起こるから１年があっという間なのだ
施設に入れられると、いかにノンベンダラリと年月が過ぎて行くのかがわかろうというものだ
悪いことばかりではないんだけどな、施設があるおかげで生きられる面もあるんだけど名
精一杯生きて行くのはツライ事だ、と言い続けてきたけど、それは甘えだった
ノンベンダラリと生きるより、ツライと感じる方がどれほど幸せだろう
あれは甘えだった、ただつらいフリをしていただけなのだ
ここでは「オムツにしろ、オムツにしろ」とよく言われる、そのほうが介護士がラクなのだ
今は俺は精一杯抵抗しているが、遅かれ早かれそんな時も来るのだろう
最初のころに比べて俺も随分動きが悪くなった、せめて現状を維持したいんだけどな
こうやってただ長く感じてしまう１年が過ぎ去って行く
だが、文面から感じられるほどには気分は暗くない、先天的に能天気なのかな