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2021年03月05日21:02

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投稿詩

 先週のメランジュ月例会に投稿した詩を以下に記す。

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巨人の食卓

消化器官の頑丈な者に腐敗と発酵の区別はなく
バクテリアのなした廃棄物をただ黙々と咀嚼してゆく
元素の種類は幾許か、しかし無限の量があり
分かちがたき結合を解きほぐしつつ
いくつかの無心の塊として差し出せば
味蕾は虹の濃淡をより分けて、ああこれは離別の悲哀
これは邂逅の驚喜、あれひょっとして偽計の闖入
もろもろ取り込んでまたひとつ大きくなる

哲学はしばしばどうしようもない矛盾にぶつかる
禅の公案はそれを寓意として、解答はない
ないけれども発語せねばならない
そのための気力を巨人の胃袋は生みだす
何もかもを食らい尽くすブラックホールが
なぜか無限の質量を撒き散らし
矛盾はない
すべて順調とのたまう朝のニュースみたいなものだ

コンビニエンスストアで買ったマスクを着けて
縦長レシートの裏に横書きでこれを記している
あと数行で余白が埋まる
最後に何を書こうか
それともレシートの表に回ろうか
ああやっぱり回ってしまった
巨人がデザートを欲しがるように
ブラックホールは
エンディングを
書きつけてほしそうだ


なにもかも食い散らかして撒き散らす残骸なる語を味わい尽くせ

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 会の前半では、鈴木六林男と林田紀音夫がそれぞれに連作した吹田操車場についてレポートした。これについては、またの機会に記すこともあるかも知れない。

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