重複椿事

　実家で給湯器に繋いでいる水道管がおかしくなった。床下を這っている管のどこかで水漏れのようだ。調べるのはほぼ不可能とのこと。床下の水道管をあきらめて、別途取り付け工事をすることになった。
　ついては、工事の詳細の説明に立ち会って欲しいと母から依頼。午後からの仕事とぶつからないよう午前中実家に向かう。久しぶりにラッシュアワーの電車に乗る。途中で座ることが出来たのは幸いだったが、眠ることは出来なかった。業者の説明を聞き、水漏れ分の水道料金の割引についての依頼書送付を水道局へ電話しと、なにやかやとやっているうちに時間が過ぎる。すべてが終了後、仕事場へと急ぐ。
　午後の仕事をなんとか済ませて、帰宅の電車に飛び乗ったが、猛烈な眠気。しばらく爆睡。プラットホームが近づいてきたところで飛び起き、あわてて下車。と思ったところが、一駅前だった。気づいた時には、電車は発車。次の電車を待つことなく、一駅分余計に歩くことにする。
　ところが、その一駅分が難物だった。道のアップダウンがきつく、散歩という雰囲気はまるでない。道も入り組んでおり、行っては戻るを繰り返し、馴染みの道を見つけるのに手間取る。次の電車を待った方が早かったのは明らかだが、まあこんなこともあると達観して馴染みの道を歩く。歩くことの効用だろうか。
　なんとか、家にたどり着きドアを開けようとすると、鍵がかかっている。夕刻に誰も居ないとは珍しいこともあるなあと、鍵を外して家に入ってみると、料理途中の野菜が台所にあるなど、慌てて出かけた様子。
　何があったのかなと、着替え、風呂の準備などをしつつ待っていると、愚息が帰ってきた。足を見ると踝が腫れている。一目でねんざと分かった。石段で転んだとのこと。閉館時間が近く、配偶者が急いで病院へと運んだらしい。
　痛み止めを貰ってきたようだが、特に痛むようでもないようだ。靱帯を損傷したようなので時間はかかるだろうが、ゆっくりと治せば良い。

　ラッシュアワー、工事説明、仕事、駅の折違え、愚息のねんざと、次々珍しいことが連続するものだと妙に感心する一日だった。

　　夜の壁をそろと降りゆく大蟷螂