気がついたら
いつの間にか見当たらなくなっていた
確か左手か右手の小指あたりに
薄っすらとした
赤い糸があった気がしていたけれど
気がついた時には
だいたい手遅れなもので
もう何処を探しても
見つかる事はありませんでした
そんな事もすっかり忘れていた
とある、娘が生まれた日
妻は病院で眠っていて
1人
へその緒をもらって
家に持って帰りました
記念に、娘の誕生日の日にちが
書かれた紙と一緒に
記念撮影してましたら
溶けたおもちのような
乳白色したへその緒に、
薄っすらと赤い糸の
切れ端がみつかりました
あれだけ探しても見つからなかったのに
私と妻の赤い糸は
くっついて一本になったと思ったら
へその緒を通して
娘の小指に行ったようでした
赤い糸は
娘の小指に行ってしまったから
うっかりしてると
定年退職した日に
離婚届が
私のリビングのテーブルの
指定席に
置かれてしまうかもしれないから
妻を繋ぎとめてくれる
赤い糸を
新しく作らないといけないよと、
生まれたばかりの孝行娘が
教えてくれました
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