ブログ「虹と雪、そして桜」より
鏡像問題 鏡の中の像はどうして左右だけ反転して上下は反転しないのか? 1
https://remedics.air-nifty.com/main/2015/03/post-dc0c.html
鏡像問題 鏡の中の像はどうして左右だけ反転して上下は反転しないのか? 2
https://remedics.air-nifty.com/main/2015/04/post-c330.html
を読みました。管理人氏は、トポロジー問題は得意だそうです。おそらく、数学か化学あたりの方でしょう。
「鏡の中の像はどうして左右だけ反対になって、上下は反転しないのだろうか?」
いろいろな見え方について回答を用意しています。基本は、垂直に立てた鏡の前に、向かい合って立ちます。
1.鏡像は左右も上下も入れ替わっていない
自分が右手を上げると、鏡像は自分から見て右側の手を上げます。入れ替わっているのは前後です。
2.鏡像の左右が反転したように感じる
頭の中で、鏡像の横に空想の人間を並べ、「同じ方向を向かせる」と左右は逆になります。自分が右手を上げると、鏡像は左手を上げます。
3.鏡像の左側に右手がついているように感じる
(ブログでは左右決定を優先に、非対称な頭と足で説明。想像できないので、上下優先、左右非対称に改編した。)
ヒメシオマネキ(雄)の衣装を着ると、右手が大きな鋏になります(※)。鏡と向かい合うと、鏡像は体の「左側」に右にあるべき「右大鋏」がついて見えます。左右が逆転して、たいへんな違和感です。
自分から見ると、鏡像の「大鋏」は自分の「右大鋏」の前にあります。しかしこれは鏡像の左側に「右大鋏」がついていて、更に回転してこちらを向いているからであり、前後しか反転しない1.とは異なります。また、鏡像が左利きのカニ(左大鋏)にも見えないので、2.とも違います。自分が「右大鋏」を動かすと鏡像は左側についた「右大鋏」を動かすように見えます。
この見え方をする人は衣装を着なくても、鏡像の左側に右手がついているように感じます。
[回答] 鏡像の前後を同じ向きに揃えると、なぜ上下ではなく左右が反転するのか?
「人間の脳は、(人型の)上下前後の決定を、左右の決定より優先している」からです。左右を最優先に(左右、前後、上下)と決定すれば、鏡像は上下が反転して見えます。
[回答] 鏡像問題の2重のトリック
鏡像問題の、問題通りの見え方は2.です。
「人間にとって、左右の決定が相対的なものである」
「人間のからだが左右対称である」
人間は脳内で、見たものを瞬時に回転させて理解しています。
人型の向きを(上下、前後、左右)の順で決定するのは、人間のからだが左右対称だからと推測します。
----------
「虹と雪、そして桜」に出てくる見え方を『多重プロセス理論』で解釈します。
『視点反転』
・2.は普通の視点反転
・2.で床鏡の上に立つ場合、上下が回転して更に視点反転
・3.の鏡像の左右の決め方
『表象反転』
特に書いていません。
『光学反転』
・1.は光学反転
・1.で床鏡の上に立つ場合、上下が反転
・3.は動かした右手だけが光学反転
☆『左右軸の従属性』
理解の鍵として採用しています。
結果
一口に視点反転と言っても、いろいろな見え方を含みます。
3.は、体のパーツごとに視点反転と光学反転を分けました。
----------
その他の感想です。
深いです。
視点反転について、更に考察を進めています。物の形を頭の中で瞬時に回転させているのは、誰でもやっている事なのか、トポロジーの人だから特に鍛えられているのか、不明です。もし誰でもやっていて、意識に上らないだけなのであれば、脳は瞬時にいくつかの見え方を提示していて、一つだけ採用しているのかもしれません。どこかで聞いた、脳はマルチタスクってやつです。
3.に関しては、推測で解釈しています。ヒメシオマネキの衣装を着ているときは、鏡像を「手袋」と見立てた時に手がはまらないから左側に右手なのだろうと想像します。衣装がないときには、右手を動かそうとしたときに動いたものが右手という、感覚情報と視覚情報の一致が重要と思われます。ここに、視点反転からくる左右情報が同時に認識されて、混乱するのでしょう。
一見、きれいにまとめられなかった風な印象も受けますが、不思議な感覚をきれいにまとめては、混乱した感覚を表現できません。脳が、いくつかの見え方を矛盾をはらんだ状態で統合していると思うと、面白そうです。(と、わからなかったことを棚に上げます。)
ところで、右手を動かそうと思ったタイミングぴったりに動くものなら、相手が形の違うロボットアームやCGでも自分の右手と認識するのでしょうか。商店の天井近くにある防犯カメラの映像を見たとき、自分が映っていても、ちょっと時差があるだけで自分を見つけられません。小亀説を見た時にも感じましたが、自身の鏡像には特別感がありそうです。
ペーパークラフトで考察するのは、自己認識に関して、動きの感覚の部分が欠けていたようです。
※シオマネキの大きな鋏は、個体によって右だったり左だったりします。沖縄本島の泡瀬干潟で調査したヒメシオマネキの大鋏は、9割程度が右だったという記事から、右鋏を採用しました。また、着ぐるみとしたのは、ヒトの認識を議論しているからです。大鋏が右であることがいわゆる「イケメン」で、良い動きが「スポーツ万能」だとすると、ヒメシオマネキにとって「右」は人生(結婚)を懸けるべき重要な方角です。本編の「足が上、頭が下」くらいの違和感があるだろうと想像しました。
参考:(参照日2020年06月22日)
「虹と雪、そして桜」/ 鏡像問題 鏡の中の像はどうして左右だけ反転して上下は反転しないのか? 1
https://remedics.air-nifty.com/main/2015/03/post-dc0c.html
「虹と雪、そして桜」/ 鏡像問題 鏡の中の像はどうして左右だけ反転して上下は反転しないのか? 2
https://remedics.air-nifty.com/main/2015/04/post-c330.html
デイリーポータルZ / シオマネキのハサミ。大きいのは右?左?(平坂寛)
https://dailyportalz.jp/kiji/121105158208
mixi日記 / [鏡の反転] 答え合わせ 小亀淳 (物理学者)
https://open.mixi.jp/user/450017/diary/1975968523
ログインしてコメントを確認・投稿する