志村けんさん、逝く。

志村けんさんの訃報。
どこかの地下鉄の駅か。明治座の看板の前を通り、バカ殿の舞台の広告を見るたび、一度行ってみようかな？と思っていました。
あのとき、パッと行っちゃえばなあ。チケットなんて今の喪失感に比べたら安いものだったよ。
人生はそんな後悔の繰り返しとはいえ、辛いことです。

もう１つ訃報を聞いて思い出したのは、三遊亭円生の死についてだった。昭和の大名人円生が亡くなったその日、上野動物園のパンダが死んだ。翌日の新聞はパンダ一色、端っこに小さく「円生も」と書かれたという。
志村けんの死は間違いなく世界中に打電されている。「日本の国民的コメディアン、コロナに死す！」。
当人の無念、周囲の悲歎とは裏腹に、世界中が志村けんに振り向いた。

スターの死は、まずブラウン管から姿が消え、闘病生活が伝えられ、振り絞るような声が聞こえて、そうして厳かに伝えられる。美空ひばりも石原裕次郎も林家三平もそうだった。
志村けんはどうだ？ある日突然、頭の上から金だらいが落ちてきて、気がついたら回り舞台の向こうに消えていた。
生涯一コメディアン、志村けんに合掌。