奥さんに命じられて、シチューを作りました。
作っている最中に、ハイレゾを聴いておりました。
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏です。
ストラヴィンスキーの「春の祭典」とブラームスの「交響曲第1番」です。
44.1kHz24bitのFLACという、これでもハイレゾと考え込んでしまうスペックですが、このファイルしか販売していなかったのです。
半額で購入しているので、文句は言えません。
演奏はなかなかいいのです。
ブラームスは交響曲全集4曲を購入しているのですが、第1番だけハイレゾウォークマンに残っています。
というのは、ラトルのブラームスは全く駄目なのです。2,3,4番はベルリン・フィルも首席奏者が演奏していない2軍状態です。
最後に録音した第1番は、どうしたものか、首席奏者が揃って、ベストメンバーで臨んだようです。
コンサートマスターは安永さんという日本人奏者ですが、どうも、指揮者の代わりを安永さんが務めたようです。
それで、ラトルのブラームスでなく、ベルリン・フィルのブラームスになっています。
小澤征爾さんが指揮した時の交響曲第1番に近いです。
安永さんは、帝王カラヤンのときのレコーディングでも、カラヤンを無視したことがあります。
そのときは、クリスティアン・ツィンメルマンがピアノ独奏のグリーグのピアノ協奏曲の録音だったのです。
カラヤンとツィンメルマンが真っ向から対立して、演奏にならないことになり、最後の案で安永さんはカラヤンを無視して、自分でオーケストラに指示を出したのです。
カラヤンに逆らったら、ツィンメルマンは楽壇を干され、安永さんはベルリン・フィルのコンサートマスターのポストをなくすかもしれません。
それでも、彼らは自分を貫きました。
カラヤンも、オーケストラの誰も指揮棒を見ていないのですが、空気をかき回す独特のしぐさを最後まで続けたそうです。
結局、ツィンメルマンも安永さんもお咎めなしで済んだのですが、このときの録音はカラヤンとツィンメルマンが写った写真を使っているので、喧嘩状態だったことは誰も気がつかなかったようです。
ただ、カラヤンの指揮らしくない演奏でしたのは気になりました。流線的な音楽がカラヤンの特徴ですが、ベルリン・フィルの男性的な演奏だったのです。
そして、ツィンメルマンのピアノははっきりと自己主張をしていました。
カラヤンは自己の解釈に独奏者を従わせるのです。
変だとは思いつつ、いい演奏だと感心したものです。
安永さんのインタビューで、このときのことを知ったのは、カラヤンが亡くなった後のことだと思います。
クラシック音楽の世界もきわめて人間臭いところがあるのが面白いです。
さて、今日のシチューは途中でタマネギ、ジャガイモとニンジン、牛肉を炒めるときに、調子に乗って、シオ、コショウをしすぎました。
そのため、出来上がりは塩辛くなりました。
「過ぎたるは及ばざるが如し」は本当だなぁ。
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