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2020年12月01日11:22

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ロッキード疑獄

ロッキード疑獄、春名幹男著を読む。
サブタイトルには「角栄ヲ葬リ巨悪を逃ス」とあります。

取材に15年かけたこの本は大変な力作です。主なソースはアメリカの国立公文書館で秘密解除された文書なので、説得力があります。主要な人物にもインタビューをしています。
アメリカが、日本の政局について実に詳しく情報収集と分析をしていることに驚きます。
この本も、誰かが抄訳をアメリカ本国に送ることでしょう。

やはり、キーパーソンはキッシンジャーです。彼が蛇蝎のごとく田中角栄を嫌っていたことが、記録に残っています。かれは、宮沢喜一元首相とはインテリ同士だからか、気があったそうです。田中角栄は中国を訪問する前に、日中国交正常化についてアメリカ側に説明しています。アメリカ側は、それはあまり好ましくないと忠告していますが、露骨に反対できなかったのです。当時はニクソンショック後で反米感情が日本人の間に渦巻いていたのです。ここで表だってアメリカが反対したと言うことが伝わると、火に油を注ぐことになると判断したのです。

日中国交正常化をされて怒ったキッシンジャーは、日本との北方領土交渉で妥協しないようにソ連と密約を結んでいます。現在も北方領土問題が何ら進展しないのは、それが、アメリカの利益にならないからなのでしょう。

ロッキード事件では、日本側に渡された文書は半分しかありません。残り半分に「巨悪」に関する記述がでているのでしょう。アメリカは自国の利益を損なう核心的な情報は出してきません。公開するしないは別にして、あれだけの文書が保管されているところがアメリカの強みです。翻って日本は、隠蔽・改竄・廃棄ですからねえ...。
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