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2019年12月09日22:13

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「大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件」読了

【書名】大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件
【著者】カーク・ウォレス・ジョンソン 著 矢野 真千子 訳
【発行】化学同人
https://www.kagakudojin.co.jp/book/b461548.html

2009年に大英自然史博物館トリング分館から、ダーウィンと共同で進化論を提唱したことになっているウォレスが東南アジアから初めて足つきでイギリスにもたらしたフウチョウの標本を含む199点の鳥の標本が持ち去られた事件のルポルタージュ。

フライフィッシングに使う毛針制作に倫理観を捨てて人生をかける人々と、古今東西あまたの野鳥標本を同じ種類であっても集めて後世に残そうとする人々との「戦い」を、標本の来歴や収集の意味まで詳しく紹介した本。盗まれた標本が199点とはっきりわかる理由も書いてありました。採集地や採集時期のタグを外された標本には価値がなくなるのですが、それがどれほど人類の文化にとって罪深く、とりかえしのつかないことなのかを訴えかけています。

本の中ほどにカラー口絵が入っているのですが、その羽の美しさにはたしかに溜め息が出ます。でも、自分としては毛針に成り果てた姿よりも鳥の剥製に付いている状態の方が比較にならないほど美しいと思います。

参考文献に、以前読んだソーア・ハンソンの「羽」が入っていたりして、こういうところでつながってくるのかと嬉しくなりました。参考にしたのはたぶんあのあたりでしょう。

けっこう話題になった本らしく、ちょっと高めの専門書なのに、9月に日本語訳が出版されたのが、11月に買ったときには2刷でした。
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