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2021年06月03日23:12

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九十九足

 百足は思った。
「脚が痛い」
 でもどの脚か分からない。
 右か左かも分からない。
 前か後ろかも分からない。
 ただただ鈍やかな痛みがしんしんと続いていて、百足を苦しめる。
 百足は思った。
「分からないからなんだと言うんだ?」
 分かったところで、どうしようもないのだ。
 ああ、痛いのはここだと分かったところで、いったい何になる?そう決め込んで、ぞろぞろと歩き出したのだが、やはり痛い。
「俺は知りたいだけなのだ」
 この痛みを取り除くことよりも、ただ自分の痛みの根源を知りたい。そう、ただ知りたいだけ。それを知ったところで、何もできないことくらい分かっているそれでも、やはり知りたいのだ。

 そうして目を覚ました僕は、自分が百足であることを知る。
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