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2019年10月22日11:15

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Y氏の正体(誇張しすぎた星新一)

 Y氏の正体はスパイ。さまざまなミッションを成功させてきた凄腕のスパイだ。そして今、「独裁者Nを失脚させるようなスキャンダルを探れ、できうることなら暗殺せよ」という新たな指令を受け、S国に潜入している。表向きはG国の大使と身分を偽装して。
 今夜開かれるN主催のパーティーに参加する為、Y氏は妻のTを連れ、Nの邸宅へ向かっている。門扉の前で、武装した警備兵に車を止められる。身分証を見せ、身体検査を受け、やっと敷地の中に入れた。物々しい警備だ。通常の手段では忍び込むのは不可能に近い。今夜のようなチャンスはまたとないかもしれない。
 パーティーがこなれてきた頃合いを見計らい、Y氏は、妻のTに、「ちょっと夜風に当たってくる」と言い残し、トイレに行く。人に見られていないのを確認して、ドアを閉める。個室に入ると、D博士の開発した圧縮服を財布から取り出し、使用人に変装した。後は、F氏から受け取った建物の見取り図を頼りに、Nの書斎に忍び込む手筈。
 廊下に出ると、使用人らしく背筋を伸ばし、堂々と廊下を歩き書斎に向かう。幸いにして、F社の香水の匂いをプンプンと漂わせたL国大使の夫人のKとすれ違っただけで、他には誰とも会わずに、書斎に辿り着くことが出来た。書斎のDを予め用意していた合い鍵で開ける。カチリ。ここまでは予定通りだ。
 書斎を見渡す。壁際にある本棚に近付く。情報ではこの向こうに隠し部屋があるはずだ。本棚に置かれた本の中から、Nが崇拝するW国の独裁者Rの自伝を探し出し、指を掛ける。この本を手前に引き出すとOが開くはず。隠し部屋に、Nを失脚させるようなネタが有ることを期待して、Y氏が本に手をかけた瞬間。
「何をJしている?」
 背後から声。驚いて振り返ってみるとそこ立っているのはN。
「あのー、お部屋をお片づけを」
「苦しい言い訳はよせ。お前の正体がG国から派遣されたスパイ、『Y』だということは分かっているぞ」
「Kそっ」
 懐に手を入れ、Cを出そうとした瞬間、Y氏は、Nの横に立つ人影に気付いた。
「T、どうしてこんな所に?」
「ごめんなさいY、実は私、Nの女なの」
「まさか、UはWスパイだったのか?」
「そういうことだ」
 不適に笑うNが、黒く鈍い光を放つPをY氏のPに向けてPしようとする。
「やめろー」
 Z叫を残しY氏は、Pされた。
「これで、邪魔者は片付いた」
 NがTの腰に手を回し、Fをしようとしたその瞬間、笑い声が部屋に響く。
「なにー、確かにPした筈だ」
 驚愕するNの目の前で、ゆっくりと立ち上がるY氏。LサイズのSをはだけると中には鋼鉄の体。
「まさか!『Y』の正体はロボットだったのか?」
「違うわ」
 Tが囁く。
「私が『Y』よ」
 表向きはG国に所属するスパイであるY氏の妻だが、実はNの情婦かつS国に所属するWスパイだとNが認識しいたTこそが、実は謎の凄腕スパイ、『Y』の正体だった。
「『Y』は男じゃないのか?!」
「疑ってるの?私が女だってことは、夕べもベッドで確認済みでしょ?」
 Yは、いや、Tの振りをしていた『Y』は、AからJを取り出すとNのXにTを向け、Vした。
「今、無線スイッチを押して警備兵を呼んだ。無事にここから脱出できると思うなよ」
 Nが最後の捨てゼリフを吐き終わらないうちに、廊下から聞こえる無数の足音。絶体絶命のN。
「ご心配なく」
 まさかのどんでん返し。 
 『Y』はBをEした。
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