コロナウィルス禍でピンチのトランプ大統領の次の一手は？

台湾は今のところ、コロナウィルス対策ではベターな対応をしていると思います。

その対応で苦境に立っているのがトランプ大統領。
そして勢いつくのがサンダース民主党候補だと考えます。

サンダース候補は、社会主義的な政策を打ち出していますが、これはアメリカという国が自己責任論が強い社会で、本来ならあるべきはずの社会保証制度が存在しなかったからです。
アメリカの成立の歴史から考えますと、自己責任論とは、自己正当化の理論だとも言えるかと思われます。
アメリカでの成功とは、経済的成功以外は無かった訳ですから、それをことさらに、アメリカンドリームという言葉で飾っていたという事でしよう。
その利益を守る為に銃の所持が認められている事こそ、アメリカの歴史を端的に表している事に他なりません。
その背景には、私はやはりカトリックの影響がある。と、思えます。
勿論アメリカは、プロテスタントが築いた国である事に間違いは無いでしよう。
しかし、法という物に無知なネイティブを騙した背景に、キリスト教徒以外は人間では無いとしたカトリックの教えと、大航海時代以来の植民地獲得競争と、植民地の人間を劣等民族視する人種差別も加わっていたと考えます。
それが奴隷貿易にも繋がっていた訳です。

そんなアメリカに、今地殻変動が起きているのだと私は考えています。
アメリカ主導の新自由主義経済論ですが、元祖自由主義経済論は、産業革命の後のイギリスが主導していました。
それを鵜呑みにして没落したのがスペインです。
かっての超大国のスペインですが、この自由主義経済論によって産業革命に乗り遅れたのです。

社会保証の貧弱さは、アメリカの強みでもありました。
が、資本主義の宿命としての後進資本主義の有利さ(人件費の安さ)により、生産活動は国外に移転する事になってくると、アメリカもイギリス同様に金融資本主義に変化します。
金融だけの資本主義は、それこそ莫大な資金の勝負となりますから、金持ちはより金持ちに、富は偏在していくのは当然な帰結です。
サンダース候補は、アメリカンドリームから取り残された人達に訴えかけ、その支持を背景に勢いを増しています。
コロナウィルスが蔓延した場合に、アメリカの人達は私達よりも脆弱です。
私達には国民が加入している健康保険がありますが、アメリカにはありません。
富が偏在するアメリカでは、昔、私達が憧れたアメリカ人の生活は消え、かなり貧しいものに変わっています。
数年前かもっと前でしたか、あのウォール街のデモを思い出したら理解できます。
そんな状況をコロナウィルスが直撃した訳ですから、３月９日のアメリカの株価大暴落のニュースも、私には納得できる事です。
トランプ大統領には、このような窮地に有効な対策はあるのでしょうか？
それこそ非常事態宣言など出したら、トランプ大統領の再選は消えます。

タリバンと、米軍撤退を条件に和平合意が成立しました。
が、人気回復の役にはたちませんでした。
確かに米軍兵士の戦死は回避できますが、テロの悪の元凶だと決め付けたアメリカが、この成果が無い合意をした事は、事実上アメリカの負けとみなされるからです。
コロナウィルス禍はまだまだアメリカでは続きます。
人気回復は難しい状態のトランプ大統領は、外交に活路を開くしかありません。
ではどこと？

私には、北朝鮮との合意の可能性が高まったと思われてなりません。
トランプ大統領が苦境にあるように、金正恩も苦境の中にあります。
そして韓国の文大統領も、中国の習近平主席も、求心力が低下しています。
彼等にもトランプ大統領に乗る下地はある訳です。
朝鮮戦争を正式に終結し、四人揃って式典に参列する事になれば、これは大きなインパクトを世界に与えます。
中国が北朝鮮の核を預かるという形での合意があるかもしれません。
北朝鮮が恐れる事は、核を手放した事で体制が崩壊する事ですから、それを中国が担保する形です。
これは表面の形で、秘密協定で核とICBMの保持を数量限定で認めるかもしれません。
その後で、南北協定で、交流とその後の統一の恒久的な会議を持ち、できるなら中国と台湾との対話の場を構築するなら、これ程インパクトのある事はありません。
最初に台湾のコロナウィルス対策を誉めたのは、この対策の報道で、台湾に注目が集まり、台湾の存在感が上昇してくるからで、劣勢な台湾が、今なら対話を受け入れるかも知れないと、そう考えられるからです。
勿論これは、私がトランプ大統領ならという仮定の元で考えたシナリオです。
しかし、私はこのように動く以外には、トランプ大統領の再選は危ういと思います。

サンダース候補が、アメリカの従来の考え方に風穴を開けたのは間違い無いでしょう。
しかし、それが国家の体制を変えるにはまだまだ時間がかかります。
アメリカの建国以来の思想はそれほどまでに強固なのだと思います。