(極めて私的な回顧話)
新宿のごった返す表通り、歩きたくないのに歩かされる。
そしてショップに入ったかと思うと自分の服の試着。
こんな身勝手な人種にアートや音楽が理解出来るのか。
そう思っている傍から、
「だからさー、U2の曲は好きだけど、バニーメンはねぇ。でもキュアーはいいよね〜」
女子トークのような軽さでニューウェイヴのバンドたちを斬る。
うんざりだ。
会話に飽きると何故かしりとりを促す。
本気のしりとり、したくない。
こんなに爽やかな秋晴れなのに、心には黒雲が渦巻く。
とぐろを巻くように。
「そうだ!この前言ってたデレク・ジャーマンの映画ってこれ?」
カラヴァッジオ。
そうです、それは、イタリアルネッサンスの異端児的画家カラヴァッジオの自伝的映画。
目の前にポスターが貼られていた。
いやー、一緒には観たくないよ。デレク・ジャーマン監督のは一人でゆっくり観たい!
とにかく、異端とは、希少価値な存在、際立って、独特の世界観・美意識。
「ぶってるね〜。ものごともっと簡単に考えたら?」
ちっともぶってない。
ああ、もう帰るね!
「怒っているみたいだけど、素を出せるのはきみしかいないんだから。僕にとっての希少価値」
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