私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
川岸に多くの人々が集まっている。全員マスクを着けている。川口と小川が混じっている。
代表(女性)
「今日は月一回の川岸清掃会です。こんなに集まって、いただき、これから二時間、清掃にご協力ください」
参加者全員がゴミ袋とゴミハサミを持っている。川口と小川、黙って、先導者と歩き始める
小川
「ここに、空き缶があった。まず、これを拾おう。下を向いて、歩こう」
川口
「ああ、いい天気だ。歩くだけでも、ウキウキするぜ」
スタッフ男1
「手を休めないで、ちゃんとゴミを拾ってください」
川口
「御免なさい。一生懸命、やります」
小川
「けっこう、この辺、ゴミがたまってますね」ゴミ袋にどんどん入れている。
川口
「いくら拾っても、又捨てる人々がいると、イタチゴッコかな」
スタッフ男2
「きたなくしているから、捨てるんですよ。きれいにしていると、だんだん、捨てる人々が減って、こんなに、きれいでしょう」
川口
「そうか。そうやって、みんなで清潔にするんですね。見習わないと」
小川
「俺もやる気になったぞ。希望が見えてきた」
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