私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
川岸を歩く、川口と小川、気分転換へ
川口
「気持ちいいでしょう。外を歩くと。俺ね。気分がムシャクシャすると、こうやって、外歩きまわっているんだ」
小川
「はあはあ(息が荒い)。しばらくぶりに外へ出たんで、歩くのが辛いです。だけど、ようやく気持ちが落ち着いてきたみたい」
川口
「今日はいい天気だから、外で話をしてみたくなったんです」
小川
「外で、空気を吸うと気持ちがいいですね(深呼吸をしてみせる)」
川口
「自分の内部にあるモヤモヤを吐き出してみませんか。もっと気持ちがスッキリしますよ」
小川
「なんとかして、外へ出たいよ。なにをしたら、いいでしょうか。ただ、歩いているだけですよ」
川口
「なにか、思いつきませんか。ご自分が何をしたいか。歩くだけでも、気持ちがほぐれますよ」
小川
「俺、体力が落ちてきたことがよくわかるよ。楽しいことがないかな」
川口
「その楽しいことを見つけましょうよ。道端に咲いているタンポポを見て、きれいだなと思って、明日もここへ来たいと思うだけでいい。そんな気持ち、わきませんか」
小川
「そうですか。そんなものかな。探してみます(あたりを見回す)」
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