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2021年04月30日11:58

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ラクサンポ195

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
川口が元同僚の並木義江に電話で相談している。

川口
「そんなわけで、相談はけっこう、たいへんだけど。NPOだから、予備校講師の時よりも生活は苦しくなったよ。そちらの方は」

並木
「山あり、谷ありだったけど。最近、コロナ禍のおかげで、巣籠もりが増え、zoomセミナーは好調になったわ。これで給与が上がってくれると、うれしいけど」

川口
「うらやましいな。並木さん、うまくやったね」

並木
「なに言ってるの。川口さんは生きがいがあっていいわよ。こっちは人間よりも、数字を上げる方が大事なんだから。同業者が倒産したり、身売りになったり、した話を聞くと、明日は我が身なんだから」

川口
「苦労、多いんだ。ところで、森井さんと佐々木君が心配していたよ。仕事、大丈夫か、てね」

並木
「ええ、まだ、つながっているの。私なんか、とっくに無縁になったわ。大検予備校講師のように生徒を親身になって、つき合うことはないから。あくまでも、ビジネスライクよ」

川口
「へー、そうなんだ。俺、相談者の悩みと深刻に向き合って、心が折れてしまいそうなんだ。この仕事、辞めようかな。と」

並木
「転職は厳しいわ。私も考えたけど。やれるところまでやるわ」

川口
「並木さんは強くていいね。尊敬するわ」


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