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2021年04月23日10:03

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ラクサンポ194

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
道を歩きながら、独り言
「ああ、これでいいのかな。高橋さんが立ち直ってくれたから。俺、この仕事を続けるしかないな。大検予備校講師を辞めさせられたとき、恨んだけど。もし、他の塾か、予備校で講師を続けても、続かなかったと思う。NPOの職員になって、よかったんだな。ああ、我ながら、いい選択をした」
急に気分が軽くなった。中古のスマホ販売している店に足を向かって、歩き出した。店の中に入り、目ざとく、確認して。
「そろそろ、新しいスマホに変えようかな。でも、高いな。でも」
女性店員が寄ってくる。

女性店員
「なにか、お探しでしょうか。お安くなってます」

川口
「ごめんなさい。見てただけ。急いでいるんで」

女性店員
「又のご来店、お待ちしています」

川口、慌てて、店の外に出て。
「ああ、ゆっくりもできないな。俺、なんのために生きているのかな。最近、わからなくなってきた。相談者の悩みに寄り添っているうちに、自分も偉そうなことが言えないことがわかってきた。だけど、これも仕事だから、続けるしかないのかな。みんな、どうしてるかな。昔の知り合いに会いたくなった」


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