私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
川口が三浦氏の母親から情報を得ている。面談室
川口
「この前、お話をうかがってのですが、堂々巡りで、一行に先へ進みません。今日、おかあさま、私がお聞きしたいことがありまして、ご足労、お願いしました」
母親
「なかなか、難しくて。就職をしたのに、すぐ辞めてしまいまって、困ってしまいました。もう三年、経つんですが、たまに単発のアルバイトをする以外、たいした仕事をしていません。本人に聞いても、NPOに相談に行ってるから、なんとかなるって言っていまして。今日も、ふてくされて、なかなか起きてきませんでした」
川口
「それで、まだ眠っているんですか」
母親
「さっき、起こししにいったのですが。私も仕事がありますから、そろそろ失礼します」
川口
「お忙しいところ、お引き止めて、申しわけありません。お宅へうかがって、私が話をしてみます」
母親
「すいませんね。よろしくお願いいたします」
出ていく。
川口
「ああ、会ってくれるといいがな。こじれると、戻すのがたいへんだ」
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