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2019年12月27日13:12

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ラクサンポ131

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。外を歩いている佐藤と川口、行く当てはない。

川口
「たまには外へ出て、空気に触れるのもいいよ。そうか、人間関係が嫌だったのか」

佐藤
「どこへ行っても、ボスみたいな先輩が居て、さあ、その人の言う通りにしないと、職場に居られなくなるんだ。特に年下の人間に偉そうにされると、頭にくるさ。そんなことが二回、続くと、もう働くことに自信を失ってしまった、のさあ。一度、自殺まで考えたんだけど」

川口
「そこまで思いつめたんだ。知らなくて、軽率なこと、言って御免なさい」

佐藤
「他の人には言ったことないから、だれも知らないよ。アドバイスをしてくれる人はいたけど、いつも、『がんばれ』ということばで終わってしまう。自分で戦う以外にないけど。それにも疲れてきたんだ」

川口
「何をしているときが、今、一番楽しいのかな」

佐藤
「楽しいどころか、ただやることがないからパソコンでゲームをしていただけ。本も読んでいるうちに、内容が頭に入らなくなってきて、それこそ、生きるのが嫌になってきた。
それでも死ねないし・・・」

川口
「生きている以上、なんかできる。だから生きているんだ」

佐藤
「それじゃ、俺、死んだ方がいいのかな。生きていても、全然、いいことないしね」

川口
「君は今、何かを探しているんだよ。焦るな。焦るな」

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