私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。川口、町を歩きながら、独り言を言っている。
川口
「一年ぐらい、発達障害で困っている人々の相談に乗ったけど、うまく行っているか、どうか、確かめたことなかったからな。なんとか、仕事を探せても、続けていないことには意味がないからな。田中君、吉田君なんか、うまくやっているかな。心配だな。なによりも、俺自身がこんな仕事をしていて、大丈夫かな」
道行く人々は様々だ
若い男性と女性が通りかかる。
男
「俺、仕事、辞めようと思うんだ」
女
「だって、まだ入社、二年目でしょ」
男
「超ブラック企業だぜ。残業は毎日だし、手当なし。毎月、人が辞めて行くんだ」
女
「それで、次の仕事あるの」
男
「いくつか、履歴書、送っているんだけど。面接まで行かないよ。中途採用って、厳しいな」
女
「もう少し、頑張るしかないわ」
川口
「困ったら、相談できる人が居るのは幸福だ。相談相手が居なかったら、だれにも話せないしな」(独り言)
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