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2019年12月07日02:41

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【映画日記】『i−新聞記者ドキュメント−』、『解放区』〜前者、期待ほどでは……&後者、アカンっ!!〜

 12月6日、金曜日。

 前日の昼過ぎから久方振りに朝までどっぷりと眠った。ただ、夢見が非常に悪く、また起きても薬が残っている。ま、新しい薬に変わった時はこんなものだ。夢見が悪くなるという副作用のある薬も少なくないし。身体に重篤な副作用らしきものが現れているわけではないので一安心。

 それにしても、眠い。1・2種の薬を量を加減して飲んでも、まだ眠られる。今日ばかりは久方振りに長時間の熟睡であったものだから、どうしても未練がましくなってしまう。よって二度寝。結果、14時過ぎに目が覚めた。

 ……24時間、寝てるやんっ!!(汗)

 さすがに空腹感を覚えたので、作り置きのポトフを温めて、バゲットと共に食べた。薄味。たった1ヶ月の入院だったとはいえ、退院してから、外の食べ物の味が、とても濃く感じられるので家で何かを拵える時は薄味にしている。病院程ではないけれども。

 食べ終えて、ハタと気が付いた。「新しく処方された薬は血糖が高いと飲んではいけないんだったよなあ」と。血糖値だけでも近所の内科で測っていただけないものか? ミイラ院長に確認しよう。電話。

 「『エエよ』って仰ってます」とのことだったので午後診一番で行った。てっきり、指先にホッチキスのような器具をパチンと当てて、滴ってくる血液で測定するものだとばかり思っていたけれど、<がっつり採血>であった。

 若手の看護師(女性)が担当であった。「ここしか入らないって言われます」→「わかりました」からのおそるおそる採血。こちらから見て、狙っている血管の左側から斜めに刺して真っ直ぐに戻すつもりなのだな。うん。

 ぷすっ♪
 
 「あ、今、入った!! ……って抜けたわー…… 突き抜けては無い。ちゃんと押さえてないから抜けた感じー」と。

 ま、しゃあないしゃあない。よくあることよくあること。

 ただね、失敗した時、抜くのが面倒なのか勿体無いのか判らないけど、即座に針を抜かずに、刺したままの状態で皮膚の下でウネウネグリグリと血管を探すのはやめて。それも30秒以上も。

 「一旦、抜いてー」とこちらから言ったもの。

 で、抜いたら血が少ーしだけタラっと。「あ、やっぱり一回入ってるわ」と。

 ここでベテラン看護師(おばはん)が「アタシ、やるわー」と。「ココと、深い正中静脈とどっちがイイ? あー、でもアンタ、正中、見えへんなあ。ココしよか、いっつもココで、もう痛いやろからゴメンやけど」と。

 「はい。僕はさっきと逆から言って針を血管に水平にした方が入りやすいかな、と思うんですけど」と言ったら、「いや、直角で行く。直角で行って入ったら一気に寝かせる。任しとき!」と。

 スパコーンっ!! 一発で入った。さすがはベテラン。

 結果、「ちょっと血糖高いけど、空腹時血糖じゃあないからかまへん。もう一個の数値は全然問題無し。あとは診断した病院の医者と話せえ」と。「わっかりましたー」として帰宅。

 さすがにもう眠られへん。お腹も空いていない。暇である。暇であるが、新薬のせいか、薬を足したせいか、体が怠い。だから掃除・整理等を進める気にもならない。といって、最近、家で映画を観る気にもなれない。視聴環境が整っていないもので、ね。

 映画、行くか。今日が大阪は西成・釜ヶ崎(通称:あいりん地区)を舞台にしたセミ・ドキュメンタリー映画『解放区』の最終日だったはずだ。けれど、そちらは21時前の上映で、その前に森達也の新作『i−新聞記者ドキュメント−』を上映している。どちらも観たい。会員更新時にいただいた無料招待券が1枚あるので実質1本分の出費で済むし(←さらに、あと2本観れば、また会員ポイント・チャージ完了で招待券が1枚手に入る。現在、招待券やポイント等が7作品分ある)

 バスの時間も劇場のタイムテーブルも丁度合うので、出掛けることにした。

 第七藝術劇場さん&シアターセブンさん、お久しぶり。9月に年会員の更新に来て以来だから、新作映画チラシの取り漏れが数十作品発生しているのが心残りだけれども、まあしゃあない。まず、チケットを押さえてから、両館で新作映画チラシを収集。


●『i−新聞記者ドキュメント−』

 森達也が監督を務めた劇場用長編ドキュメンタリー作品は全作品を鑑賞している。『「A」』、『A2』、『FAKE』、『311』(←これは共同監督作品)。他にテレビ・ドキュメンタリーを2・3作。ミゼット・プロレスのを未見なんだよなあ。なので「テレビ作品も集めて特集やって下さいよー。プロレスのもあるんですよ、どうです?」、「あ、でも森達也に限らず、プロレス関連の特集、しましょうよー。どうです? 僕、作りましょうか? 渕正信名勝負集とか(笑) いや、冗談はここまでにして、プロレス関連で何かして下さいー」と支配人さんにお願いしておいた。

 さて、本作。

 今年、劇映画『新聞記者』をヒットさせたスターサンズの製作・配給。『新聞記者』とは違ってイオン・エンターテインメントは絡んでいない模様。

 東京新聞社会部記者である望月衣塑子の取材活動に密着したドキュメンタリー。菅官房長官や麻生副総理大臣の記者会見における質疑応答で、あからさまに邪険に扱われて、次第に異端児的存在となりながらも、尚、自身のスタイルを貫く望月女史。

 森達也は<ドキュメンタリーの撮り手に中立など有り得ない>という信念の持ち主だから、基本的な立場は望月衣塑子の側である。ただ、森は、往々にして主たる被写体に率直に疑問を投げかける(オウム真理教の青年信者や佐村河内守等)ので気が抜けない。しかし、本作にはそういった部分は無かった。森の政治的スタンスは自身の言葉によって<リベラル>として定義づけられるが、一口に<リベラル>と言っても色々とある。そこで、どれだけ皮肉られても、あからさまに毛嫌いをされても質問を続け、記事を執筆し続ける望月にシンパシ―を感じたのであろう。彼女に対する扱いに日本の歪みも確かに見える。
 
 ただ、作品として、やや弱い。決して駄作でも失敗作でもないが、これまでの森作品の中ではインパクトも出来映えも、最も落ちると感じた。それにしても、終盤で唐突に挿入されるアメコミ調のアニメーション映像は一体になんなのだろう? 普通に撮れば良いのに。大いに違和感を感じたし、なにより効果的で無く、むしろ逆効果だと感じた。といっても、森達也ブランドである。2館併せて1日3回の上映にも関わらず、そこそこ客席は埋まっていた。ロングランすることであろう。『主戦場』ほどではないだろうが(←今年のナナゲイさん&セブンさん)のナンバー・ワンヒット作は『主戦場』らしい。観ようかなあ、どうしようかなあ…… もう映画じゃあ無くなってしまってるからなあ、『主戦場』は……


 さ、続きまして……


●『解放区』

 先にも書いたように、大阪は西成・釜ヶ崎(通称:あいりん地区)を舞台にしたセミ・ドキュメンタリー映画。といっても、西成区だけではなくて、大阪パートだと東淀川区、浪速区、天王寺区と西成区で撮影を行っているけれども。

 脚本が、映画作家育成事業CO2=シネアスト・オーガニゼーション大阪の助成金対象となり、2014年に完成しながら、大阪市が完成作品に物言いをつけた。大阪市が問題としたのは、<統合失調症の描写、覚醒剤にまつわる描写、あいりん地区の描写、西成に対する“どん底”という言葉等>であったらしい。そのため、大阪アジアン映画祭での上映は中止となり、太田信吾監督は助成金を大阪市に返還した。渡辺文樹監督の『ザザンボ』のような経緯を辿ったわけですね。

 で、『解放区』の場合は、作品完成以降、これまで自主上映等の限られた催しを除いて陽の目を浴びなかった(文樹の場合は松竹から作品を買い取って、それほど間を置かずに池袋・文芸座等での劇場公開や公民館等を借りての自主上映を精力的に行った)

 これ、応援してた作品なんですよ、僕。チラシの展開も、手を挙げましたしね。

 で観ました。期待に胸を膨らませて、観ました。だって、<コレの最終日だから>という理由で、この日、劇場に足を運んだわけですもの。


 あかん。

 面白くないし、作劇そのものがなっていないよ。かといって『月夜釜合戦』のようなパワー&エネルギーも無いし。

 統合失調症の男性パートと、太田信吾主演パートが最後に融合しないといけないんじゃないの? それなのに絡まないじゃない。

 そして何より、釜ヶ崎の空気が掴み取れていない。あれは釜ヶ崎の生の空気じゃあない。どこかでカメラの存在が作用しているし、作り物感もする。作り物なら作り物で、それを構築すれば良いとも思うんだ。けれども、本作が志向しているものは、そういうものでもないらしい。

 で、覚醒剤描写。シャブです、シャブ。太田信吾が売人(兄貴分の方)にマンションの一室においてポンプでスカーンと一発キメてもらうシーンがあるけれど、あれは西成がどうこうじゃあなくて、映倫からもクレームは来るよ。実際に成人指定作品となっているけれど、大阪市が助成金を出すという制度の中ではさすがに通すわけにはいかないと思う。役人として。だから、<表現の自由>がどうのというなら、今回のように【助成金返還の上、自身と有志を中心とした興行展開の模索】しか無いと思う。だって、アレ、ホンマに針、刺してるしね。芯棒を引いた時に血液入ってるし、それで押してるしね。ま、内容物は、無論、覚醒剤水溶液ではなくて生理食塩水あたりなのだろうけれども。といってもね、作品が面白かったら「あー、やっとるやっとる。そら、ダメ出しされるはー。でも面白いからアリ!!」となるやん。でも、ならへんねん。先にも書いたように作劇がどうしようもないから。あと、西成の風景は捉えているけれども、臭いを捉えられていないところだな、やっぱり。あのね、映画で臭いを表現するというのは、とてもとても難しいことだけれども、街には、それぞれの臭いや匂いがあります。それが雰囲気を作るんです。そして、それが一際、際立った街なんですよ。釜ヶ崎って。それも、この数年でかなり薄まってはきたけれど、これ、2014年の作品でしょ? その頃は、もっと<釜ヶ崎の臭い>が濃かったよ。僕、30年近く前から、その臭いの変容を肌で知ってるもの。それが作品に収まってないねん。これは大きな瑕だと、僕は感じた。

 決して高くは評価できないというのが正直なところ。とても期待していただけに残念だけれども。

 といったところです。

 以上。

<左添付画像使用許諾:(C)2019『i -新聞記者ドキュメント-』>
<中&右添付画像使用許諾:(C)2019「解放区」上映委員会>

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