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2020年07月05日15:17

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国立西洋美術館常設展＋台東区長賞・奨励賞

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を観る為に国立西洋美術館に行ったのだが、本当は特別展より先に常設展が観たい。何故なら常設展が凄過ぎて、特別展の記憶が薄れるから。それぐらい凄い国立西洋美術館のコレクション。因みに、西洋絵画なら、次に凄いコレクションは東京富士美術館の常設らしい（美術ジャーナリスト山田五郎氏談）。確かにあそこもスゲエけど。下手したらダ・ヴィンチの絵（アンギアーリな）も持ってたかも知れない美術館。

今回は、版画素描展示室では、『中世からルネサンスの写本』の第２弾をやってて、こっちも当然凄くて、「はいはい、私は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展より、好きなのこっちでしたよ！」ってなったんだが、これは長くなるので別の日記にする。

まずは、通常の常設…と言っても、日記を遡ると、常設展のレポなんざ、下手したら６、７回出てくるんですが、初のスマホ写真記念！というコトで又書く。今回は私がどうしても撮りたい推し作品のみ撮って来た（写本の方で、写真沢山撮ると思って…）。

『ホロフェルネスの首を持つユディト』ルカス・クラーナハ
ホロフェルネスの首を持ち、妖艶に微笑むユディト。クラーナハの女性は冷たい。全裸の女神を描いても冷たい。血が通ってないんじゃ…と思ってしまう。人形のようとも思う。そこが好き。

同じくクラーナハ『ゲッセマネの祈り』

『キリストの捕縛』バルトロメロ・マンフレーディ
私が好きなマンフレーディの絵は、西洋美にも１枚ある。カラヴァッジェスキのマンフレーディ。カラヴァッジョにもキリストの捕縛の絵はあると思うが、それを思わせるね。キリストめっちゃ嫌がってる（笑）。

『哲学者クラシース』ジョゼペ・デ・リベーラ
私の好きなリベーラ。リベーラは皺の描き方が凄いと思うの。顔の皺、手の皺。執拗に描くよね？と。皺フェチなんだろうか？厳格な哲学者の顔。リベーラはスペイン人だけど、イタリアで活躍したんだっけ。

『ゴリアテの首を持つダヴィデ』グエルチーノ
私の好きなグエルチーノの絵。西洋美にも１枚ある。しかも凄く良いやつが！！投石の傷も生々しいゴリアテの首を持ち、天を仰ぐダヴィデ。でも、これ、実はダヴィデじゃないんじゃ？って話もあるんだっけ？
数年前、国立西洋美術館でグエルチーノ展をやった。凄く内容が良かった。のに、ガッラガラ。お客が入らない！ＧＷすらガッラガラだった。もう２度とグエルチーノ展やってくれないかも知れない。でも、私はやってくれたコトを心から感謝したい。
グエルチーノ展の図録は宝物（だって日本でグエルチーノの画集なんて出してくれねえもん！売れないから！）。

『ルクレティア』グイド・レーニ
私の好きなレーニ。西洋美にも１枚ある。しかも可愛いのが。このルクレティア可愛いよね！ルクレティアの絵、それこそ何十枚って観たけど（女性のヌードが堂々と描けるので、西洋絵画では良く見る画題）、その中でもブッチギリで可愛いと思う。
レイプされ、その身を潔白を思い自害するルクレティア。悲劇の美女だが、このルクレティアは顔が幼くてあどけなくて、まだ少女のようで。可哀相さ倍増。レーニの描く白い肌が艶めかしくエロイ。

このマンフレーディ、リベーラ、グエルチーノ、レーニの４連荘が本当に凄いと思うの。怒涛のバロック４連荘。

で、この後にカルロ・ドルチの『悲しみの聖母』が来るわけさ！

これな。この並びも好き。悲しげな表情を見せる青い衣の聖母。

アントニオ・ベルッチ『キリストの降架』と『羊飼いの礼拝』
２枚セットなんでしょうかね？プラド美術館展の時もベルッチの絵で目が留まったので、私はベルッチの絵が好きなんだと思う。ザクザクとした筆致。ちょっとジョルダーノみたいって思っちゃうケド。

前述のアップヴァージョン。

『戦いの中聖母の加護を願うギリシャの乙女たち』アリ・シェフェール
ロマン主義の画家よね。オスマントルコ帝国からのギリシャの独立戦争が絵の主題。聖母に「どうぞご加護を！」と縋っているのだね。

『牢獄のサロメ』ギュスターブ・モロー
暗い牢獄の中。花を口元に持って来るサロメ。妖しく美しい。

同じくモロー『ピエタ』悲しげにキリストを抱き寄せるマリア。

『聖アントニウスの誘惑』アンリ・ファンタン＝ラトゥール
ラトゥールさん。ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の方には薔薇の花の絵があったよね。私、これを観る度、青木繁の黄泉比良坂（だっけ？）の絵を思い出すんだ。てか、１番最初に青木繁の黄泉比良坂の絵を観た時、「ファンタン＝ラトゥールの絵みたい！」って思ったんだよな。
青木繁はラファエル前派の絵が好きだったみたいだけど、ファンタン＝ラトゥールも好きだったりしないのかな？

私の常設展の推し絵はこんな感じ。

大江戸線の上野御徒町駅からの地下道通ると"台東区長賞・奨励賞"を展示してるスペースがあるのだが、その展示が2020年になって変わっていたので、それも観て来た。

山﨑稚子さんの『cupido』クピド。解説には複雑化する社会の中で、多様化し分裂していく幾つかの自我のようなものを表現したとあったが、私には現代の道祖神のようにも見えた。色彩が鮮やかで目に残る。

元場葵さんの『Ｍ＝ｍ』陶器の惑星だ～！と思った。実際そういうイメージで作られているらしい。

青柳諒さんの『解像体』本物に近づけると、逆に我々の感覚を越え、異なる物となる。本物と似てても決定的に本物と同一ではないという違和感。解説にはそうあった。
これも色彩の鮮やかさに「わ！」っとなる。そして、これは何だろう？と思考する。

無料配布のパンフレットとポストカードセットがあったので頂いて来ました。

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