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2019年11月12日17:26

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ギルガメシュ叙事詩が思った以上にBLだった件

タイトルのままの日記です。
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先頃、古代オリエント博物館で買って来た“ギルガメシュ叙事詩”の朗読CDを聴いたのです。ギルガメシュ叙事詩は読んだコトがあり、うっすら「何かBLっぽい話しだったよね?」みたいな記憶があったんですが、CDを聴いたら、予想以上にまんまBLで吃驚しました。
朗読は声優の関智一氏がやっていて、1人で読むので、イシュタル等の女神も全部関氏が声音を少し変えて演じているのですが、流石プロ。上手くて感心しました。


ギルガメシュ叙事詩朗読CDの視聴。

まず、ギルガメシュ叙事詩って、ウルクという街にギルガメシュという超美形だけど、暴れん坊の王様がいて、その王様を何とかしてって民が神様に訴えて、神はエンキドゥという野人(なのか?)を作るんですね。で、まぁ、諸々あり、ギルガメシュとエンキドゥは戦うも、友情を育み、親友になりました…という展開があるんですが。

エンキドゥがウルクに来る前に、ギルガメシュが夢を見て、その夢をギルガメシュの母親が、夢解きする場面があるんですが(あ、因みに、ギルガメシュは、父は人間なのだが、母親は女神です。人間3分の1。神様3分の2で生まれて来たらしい。神様の文量の方が多いんだね)。

母の夢解きの台詞。「お前の見た斧とは1人の人間のことです。お前は彼を女に対するように抱き、彼に愛を注ぐでしょう。」
ようは、この“彼”がエンキドゥのコトなんだけど。
…何このBL予言!(^_^;) 女神が下すBL予言。凄くねえ?「女に対するように抱き」って言っちゃうんだなぁ〜…と。まぁ、これ「抱き(いだき)」って読むのかな?とは思うケド。ようは女の子を抱きしめるが如く抱きしめて、慈しみますよってコトなんでしょうけど。
それにしてもスゲエ。

その後のエンキドゥとギルガメシュの戦いの場面でも、ひとしきり戦った後、
“彼らは互いに手を取りあった。彼らは抱き合い、恋人同士のように、互いに手を取り合った”ってあるんですが…。
私は、楔形文字も読めないし、象形文字もまともに読めないんですが、これ、本当に“恋人同士のように”って書いてあったんでしょうか?
実は1番初めに読んだ英国の調査団の人(なのか?)の中に腐男子や腐女子がいて、そういうニュアンスで意訳しちゃったとか、妄想で書いちゃったとか、そういうコトはないの?ほら、19世紀だし、英国だしで!…と、そんな風に疑いたくなるほど、BL色が強いと言う。

そりゃ、これを元にして生まれたギリシャ神話やらローマ神話の男性同士の友情譚が妙にホモっぽくなるのも「そりゃ、そうだは。」と改めて思いました。元がもう、まんまBLなんだもん。

でさ。私は、やっぱり、エンキドゥが死んじゃうところが可哀相で仕方ない。確かに、エンキドゥもギルガメシュと一緒になって、天から送った天牛殺しちゃったケドさ。これって、元々ギルガメシュが悪いんじゃないのかなぁ。

森の怪物フンババという奴を、エンキドゥとギルガメシュが退治するんだけど。で、退治した後に、ギルガメシュは、愛と戦いの神様のイシュタルという女神に口説かれるのね。前述のように、ギルガメシュは美形だしね。そのイシュタルの口説き文句もスゲエ。「さあ、いらっしゃい、ギルガメシュ、御身は夫になるべきお方。ぜひ、あなたの果実をわが贈り物としておくれ。御身がわが夫、私が御身の妻になるのです。」
“あなたの果実”て(^_^;)。結構露骨な口説き方よな、女神。

それに対して、ギルガメシュの放つ言葉が、まぁ、ボロックソ。思わず「相手、めーがーみー!相手は女神だってば!もう少し忖度しろよ!」と言いたくなる。
「あなたは解けた氷、埃や風を遮れない壊れた扉、英雄をつぶす宮殿、それを担ぐ者を汚すアスファルト、石の城壁を壊す石灰石、主人の足を噛む履き物です。」
…酷くね?(^_^;) いや、確かにイシュタルの言い方も高飛車で腹立つけどさ、この言葉を投げかけられたら、流石に女神怒るよ。で、当然怒って父親のアヌ神に泣きつき、天牛を送るも、その天牛を殺害したエンキドゥとギルガメシュ。

ところで。このボロックソ台詞の前に、ギルガメシュは「わたしはもう上着を着てしまっているのです。それで、どうしてあなたを妻にすることができましょう。」って言ってるんだけど、この上着って、エンキドゥのコト…よね?ようは「いや、俺、もう、エンキドゥいるし!」ってコトだよな…。「エンキドゥいるから結婚出来ないよ。」だよね。どんだけ、オマエ、エンキドゥ好きなんだよって言う(笑)。

因みに、このギルガメシュにボロックソ言われた女神イシュタル。ギリシャ&ローマ神話では、アフロディテ…ヴィナスになるそうです。元がイシュタルなので、こちらも恋多き女神になるんだな。

で、天上界で神様会議が行われて、「エンキドゥの死」が決定されるんだけど。これが可哀相で。エンリル神が言う「エンキドゥが死なねばならぬ。ギルガメシュは死んではならぬ。」はどういう意味なんだろう?神様だから、将来が見えてて、将来ギルガメシュはウルクに立派な街を作る王様だから殺したらダメってコトなのかな?
にしても、やっぱりエンキドゥ可哀想。女神イシュタルに殺した天牛の腿を投げつけたケドさ。これもいけなかったんだろうな…。あと、女神は嫉妬したのかな?2人の絆に。

死んじゃうところが本当に可哀相で。エンキドゥがギルガメシュに語りかける言葉。「わたしは、あらゆる困難の道を歩んだ。わたしを死後も思い起こし、忘れないでくれ。わたしが、あなたと共に歩み続けたことを。」眠るように死ぬエンキドゥ。ボロ泣きするギルガメシュ。
エンキドゥは神様に作られたり、殺されたり、本当に大変な人生でしたね…と。でも、ギルガメシュと親友になれて、幸せでもあったのかな?

エンキドゥの死を悼み、ありったけの言葉で悲しみを伝え、最後、ギルガメシュがエンキドゥの帯を解くシーンがとても美しくて好きだ。
私の脳はこの場面を悲しいけれど、凄く美しい光景に思い描く。そして、帯を解くって、ちょっとエロくもあるよね。この帯って遺品にするのかな?

日本がまだ縄文時代なのに、こんな面白BL小説を書いてるメソポタミアって凄いですね。凄いな文明。

あと、個人的に、野人だったエンキドゥに人間の心を芽生えさせるのが、聖娼シャムハトなのも好き。シャムハトと交わる…ようは、セックスすると、人間らしくなる。流石、聖なる娼婦。
古代は、神殿娼婦もいたよね?巫女さん兼娼婦みたいな。神様に性行為を捧げるという意味合いもあったと本で読んだ記憶。そして、基本、無料で性行為をしていた(供物は上げてたと思う。お金は取らない)。シャムハトさんも、そういう感じの娼婦だったのかな?
私、シャムハト好きなんだ。エンキドゥのお母さん的立場だなって思う。エンキドゥに「人とは」を教える。

とにもかくにも買って良かった、古代オリエント博物館のギルガメシュ叙事詩の朗読CD。まだ、おそらく、古代オリ博に売ってると思うので、気になった人は見てみるといいかと。因みに、DL版もある(但し、CDの方には朗読台本も付いてくる)。

ところで。現在“Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-”というアニメをやっていて、ギルガメシュ王の声が、そもそも前述の関智一氏なのだが。
で、その関係で、FGOのファンも沢山前述のCDを買ったらしいのだが。その人達、あまりのBLっぷりに驚かなかったろうか?
私ゃ、「ギルガメシュ叙事詩のBL朗読同人誌買っちゃったのかと思った!」ってなったんだケド(^_^;)。
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