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2019年11月14日00:50

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映像派。

11月13日(水)。

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天気予報では今日から寒くなると言っていたが、空も海も光のない灰色の世界。

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俳優の中山仁さんが亡くなったそうだ。享年77才。
彼の名前と顔を記憶したのは映画「囁きのジョー」だった。
監督は今月偶然にも見ている斉藤耕一。
斉藤耕一は元々スチールカメラマンでこの映画が監督第一作、中山仁のハンサムぶりと斉藤耕一の映像派ぶり、そしてタイトルのカッコ良さで当時随分騒がれた。
生憎この映画を見る機会はなく、映像派と言うのにあまり信用出来なくて斉藤耕一作品を殆ど見ないで来た。

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それが勝新太郎、高倉健、梶芽衣子共演の「宿無し」を見て意識が変わった。
面白いのだ。
望遠を多用して田んぼの青々とした風景、海の青さと砂の白。とにかく色は綺麗。
人物の動かし方も秀逸。
何より勝新太郎たちが指名したのだからその腕前は本物だろう。
続いて萩原健一と岸恵子の「約束」を見た。
名作の誉れ高い本作は噂通りの名作だった。
冬の荒れ狂う日本海沿いを走る列車と灰色の風景。
まさに映像派と呼ばれる理由が分かる。
木村大作の撮るダイナミックな日本海の海ではない。
そして編集の妙味。
今ここにいたかと思えばこっちにいる。全然気にせずに映像の力を信じているのだろう。
清順さんの人物の動かし方はあっちにいた人間がこっちから歩いて来る。それは明らかに見る側にショックを与える為だが、斉藤耕一は映画は映像が綺麗であれば通用すると思い込んでいる。

この間見た映画「渚の白い家」でこんなシーンがあった。
妻の浅丘ルリ子を裏切って木村功と大信田礼子が密会している。
そこに現れる名高達郎。
木村功たちは驚く!
次は名高達郎のアップ。
次のカットは多少引き気味で銃声とと悲鳴と共に倒れる二人。
次のカットは硝煙たなびく拳銃のアップ。この拳銃は誰が持っているのか明らかにしない。
普通なら名高達郎が発砲するカットを入れて分かりやすく衝撃を入れるだろう。
そうしなくとも拳銃を撃ったのは名高達郎だと分からせるだろう。
そうしないのが映像派の驕りだろうか。

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